阪神・掛布OB会長「復興とともに」プロ野球選手の誕生望む 東日本大震災から14年 気仙沼市のバッティングセンター訪問

 未曽有の被害をもたらした東日本大震災から14年となった11日、阪神OB会長の掛布雅之氏(69)が被災地の宮城県気仙沼市を初めて訪問。震災で家族7人を亡くした千葉清英氏(55)が経営するバッティングセンターで地域の子どもらと交流し、「東北の復興とともにプロ野球選手になってくる子どもたちが出てきてくれたら」と未来への希望を託した。

 気仙沼で唯一のバッティングセンターに球音とともに掛布氏の声が響いた。

 「今のいいよ!」「サイコー」「オ~、君は体が強いね~」

 レジェンドを前に緊張気味にバットを振る少年たちに、身ぶり手ぶりも交えて温かい指導が繰り広げられた。

 「気仙沼フェニックスバッティングセンター」は津波で家族7人を失った千葉氏が、生き残った長男を励まそうと、震災から3年後にオープンさせた場所だ。7つある打席は亡くなった家族の分だという。

 阪神・淡路大震災の復興イベントを通じて千葉氏と数年前から交流してきた掛布氏は「非常に辛い過去。それを忘れないために作られたと思うので、子どもたちが楽しんでバッティングをしてる笑顔を見て、心が癒やされるんじゃないかな」と心を寄せ、震災発生時刻の午後2時46分にはともに鎮魂の黙とうをささげた。

 「東北の方たちはまだまだ苦しいことは多々あると思います」。掛布氏は被災地への思いを伝えながら、子どもたちに復興への希望を託した。

 「ここから子どもたちが育ってプロ野球選手になったりしたら、すごく夢がある。甲子園に東北の代表として出てきて、それから日本のプロ野球や大谷選手のようにメジャーに挑戦する子どもたちが現れたりしたらね」

 自身も高校球児だった千葉氏は掛布氏の思いに触れ感無量で「尊敬する選手だった掛布さんが、ここにいること自体が信じられないくらい。田舎のバッティングセンターですけど、少しでも夢を持たせていきたい」。10年を区切りに一度は閉鎖も考えたセンターを、今後も可能な限り、子どもたちが楽しめる場として提供していく決意を示していた。

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