【中田良弘氏の眼】フォーム変わった阪神・伊藤将 キレのある真っすぐを取り戻せるか

 「阪神春季キャンプ」(2日、宜野座)

 阪神・伊藤将司投手(28)が今キャンプ初めてブルペンに入り、順調な調整ぶりを示した。直球のみ44球。昨春以上の仕上がりの速さに充実感をにじませた。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は伊藤将について「フォーム変更によって、キレのある真っすぐを取り戻したいという強い覚悟が見て取れた」と指摘した。

  ◇  ◇

 伊藤将の投球からは、今季の復活に懸ける強い思いが伝わってきた。

 まず投球フォームに変化があった。昨季までは右足を上げた後、一度静止していたが、この日のブルペンでは止まる動作がなく、スムーズに踏み出していた。また、これまで高々と上げていた右手のグラブの位置も少し高さが抑えられていた。

 周囲には大きな変化には見えないかもしれないが、静止させていた右足を止めずに投げると、随分と体が早く前に出ていくイメージになる。グラブの位置を変えると、投球のリズムも変わってくる。本人の中では、大きく変わったという感覚があるのではないか。

 投じた44球はすべて真っすぐ。フォーム変更によって、キレのある真っすぐを取り戻したいという強い覚悟が見て取れた。

 4勝5敗に終わった昨季は生命線である右打者の内角を突く真っすぐが本来のものではなく、痛打を浴びた。この日ボールを受けた坂本は、「昨年よりも(手元で)来ていた」と評していた。元々投球術にたけた投手だけに、真っすぐのキレが戻れば、10勝を挙げた2年前のような活躍が期待できるだろう。

 フォークに挑戦しているゲラは何球かいい落ち方をするボールがあり、周囲からも「ナイスボール!」という声が飛んでいた。真っすぐとスライダーが軸の投球にフォークが加われば、打者に高低を意識させることができ、幅が広がる。ネルソンら新外国人投手の加入もいい刺激になっているように思う。

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