阪神・藤本敦士コーチ 役割分担の歯車狂った06年 球団史上初の連覇へ自己犠牲&カバー必要性説く

 球団史上初の連覇を目指す岡田阪神。実現の前に立ちはだかる“魔物”とは…。かつて夢破れた虎戦士が、後輩たちに提言する企画。今回は二塁手として2005年のリーグ制覇に貢献し、06年もレギュラーとして活躍した藤本敦士内野守備走塁コーチ(46)。経験を基に後輩にエールを送った。

 ◇  ◇

 2006年の最終戦。10月16日・ヤクルト戦を終えた後、藤本は神宮でシーズンをこう振り返っている。

 「僕がもっと打てば勝てた試合もあった」

 当時の言葉を伝えると、苦笑いしながら記憶をたどった。

 「今思い返してもそれは間違いないし、自分の中で理想と現実が懸け離れていたシーズンだった。すごく空回りしたな、という記憶がある」

 06年は投打で前年の優勝メンバーが残り、連覇が有力視されていた。ただ中日、巨人も戦力が充実しており、阪神に慢心は感じなかったという。それでも知らず知らずのうちに重圧と戦っていた。「周囲の期待も感じるし、やって当たり前というレベルが上がるから。当たり前のことを普通にするのが一番難しいと感じた年でもあった」。正常ではなかったメンタルが技術も狂わせた。

 06年は正二塁手として自己最多138試合に出場している。だが、03年に打率・301を記録して「恐怖の8番」と称された打撃は影を潜めて同・237。結果もさることながら、打撃内容も不本意だった。

 「内容の濃い凡打がなかった。進塁させるにしろ、打点を挙げるにしろ。勝つために大事なことができていなかった。チームとして目指す野球をするために、自分が何をすべきかっていう役割分担を考えたら、いろんなことをやらなあかんなって。05年に優勝して、もっともっと野球のことを考えてやっていたけど、うまくできなかったね」

 チーム全体を振り返っても「自分を含めて役割分担の歯車が少し狂ったというイメージがある」。能力の高い選手はそろっていたが、チームとしての力を出し切れなかった印象が強く残っているという。

 昨季の阪神は突出した成績を残した選手はおらず、チーム一丸で頂点に立った。藤本コーチは連覇には昨季からの継続が重要だという。そして、チーム状態が下降気味の時に自分の役割を見失わない必要性も説いた。

 「去年は本当に選手みんなが自己犠牲をできていた。でも、毎年みんながうまくいくのはなかなか難しい。その時に誰がカバーできるかっていうのは大切になるから」

 今季は「打倒・阪神」を目指す他球団のマークもきつくなる。「打者なら相手バッテリーの攻め方も変わってくるしね」。自身は06年に中日・谷繁のリードに惑わされた。05年の中日との対戦打率・240から06年は同・169に急降下。「めっちゃ考えさせられるリードをされたから」。ただ個人で厳しいマークにあっても、自分の役割を果たせばチームは勝ちに近づく。地に足を着けたプレーが連覇につながると信じている。

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