【とらものがたり・木浪聖也内野手編(6)】『したい』ではなく『する』飛躍要因に精神面の変化

 18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に貢献した虎戦士の野球人生に迫る新企画「とらものがたり」。大竹、村上に続く3人目は、木浪聖也内野手(29)が登場する。プロ5年目の今季は「恐怖の8番」として花を咲かせた。第6回は今季の飛躍をもたらした進化について。

  ◇  ◇

 心の敵に打ち勝ち、木浪は進化を遂げた。並外れた勝負強さを発揮し、「恐怖の8番」となれたのも強靱(きょうじん)なメンタルを築き上げたからこそ。今季の飛躍の大きな要因は精神面の変化にあった。

 2年前からメンタルトレーナーの元に通い始め、トレーニングを開始。物事の捉え方などを改良し、パフォーマンスの向上を図った。大勢の観客の視線が集まるグラウンドで湧き起こるネガティブな感情をどう抑えるか-。「『したい』ではなくて、『する』と言い切ることが大切」。ミスを恐れない心の持ちようを身に付けた。

 『する』は覚悟が決まった状態である一方、『したい』はあくまでも願望止まり。いわば、自ら退路を断つことでネガティブなイメージを払拭しやすくなるという。10月19日のCSファイナルS第2戦・広島戦(甲子園)ではサヨナラ打を放ってお立ち台に登場。ステージ突破に王手をかけた状況だったが、「明日で決まりますけど」と言い切った。『勝つ』と本気で思っていたからこそ口にしたであろう言葉。聖地の虎党は大きく沸いた。

 今季得点圏打率は・310で、満塁では18打数8安打、打率・444を記録。打席に入る際にはスタンドからグラウンドの自分を見つめている状況をイメージし、好機でも冷静なメンタルを保った。俯瞰(ふかん)的に自分を捉えることもメンタルコントロールの技術の一つ。“視点”を変えたことで得点圏の鬼と化した。

 父・弘二さんも息子の精神面の成長を感じていた。「電話やLINEの返事で親子だから普通の会話でもいいのに礼儀正しかった。『サンキュー』でいいところをちゃんと『ありがとう』とかきちんとした言葉になっていました」。父がスマートフォン越しに心の余裕を感じるほど、木浪のメンタルの波は穏やかだった。

 「おととしからずっとやってきたことだった」と木浪。約2年の月日をかけて鍛えた精神力が、今季の活躍の支柱となった。

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