阪神・中野 初の最多安打タイトル獲得 「ちょっと情けないですね、最後」も二塁でフルイニング「自分としても自信になる」

 8回、遊ゴロで一塁へ走る中野
 1回、左邪飛に倒れる中野
 7回、塩見の打球を軽快なフィールディングで処理する中野
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 「東京ヤクルトスワローズ5-4阪神タイガース」(4日、神宮球場)

 セ・リーグのレギュラーシーズン全日程が4日、終了した。ヤクルトにサヨナラ負けを喫した阪神からは、5部門でのタイトルが確定。二塁でのシーズンフルイニング出場を果たした中野拓夢内野手(27)は、無安打に終わったものの164安打でDeNA・牧と並び最多安打のタイトルに輝いた。攻守にわたってチームを支えてきた男が、大きな勲章を胸に日本一に向けて戦っていく。

 神宮の杜に降り続けた雨に打棒は湿り、ついに快音は響かなかった。無安打に終わった中野だが、確かな勲章は手に入れた。今季164安打で、牧と並んで自身初の最多安打のタイトルに輝いた。球団では21年近本以来。満面の笑みとはいかず、少し複雑な表情を浮かべながら快挙を振り返った。

 「ちょっと情けないですね、最後。何とか単独で取りたいなという気持ちはあったんですけど。でも最後まで試合に出られたことが一番良かった」

 中野が打席に立つ度に、左翼席から三塁側スタンドを埋めた虎党から、大歓声が飛んだ。初回は高橋の直球に差し込まれて左邪飛。雨による13分間の中断後に再開された三回は先頭で再び左邪飛。先頭の六回も中飛に終わった。声援は三たび、ため息に変わった。

 試合中も、牧の結果を気にかけていた。牧が3打数無安打で終えた状況で迎えた八回は1本出れば単独でのタイトル獲得だったが、最後も吉村の変化球の前に遊ゴロに倒れた。

 終盤戦は重圧との闘いだった。安打数を問う報道陣に「そうやって聞くからヒット1本しか打てないんですよ」と笑いながら真摯(しんし)に対応していた。冷徹とも言える数字と向き合い続ける精神力には形容する言葉が見つからなかった。

 21犠打もリーグトップタイ。2番打者として、チーム打撃に徹しながらの最多安打には「自分としても自信になる」と胸を張った。

 何よりも価値を見いだしていたのが全試合フルイニング出場だった。2リーグ分立後、球団の二塁手としては1962年の鎌田実、90年の岡田彰布以来3人目の偉業となった。

 3月にはWBCに出場して世界一に貢献。同僚の湯浅や山田(ヤクルト)ら離脱者や出遅れる選手が相次ぐ中、例年よりも長い1年を開幕からたくましく駆け抜けた。さらに今季は遊撃から二塁にコンバートされた。不慣れなポジションで手探りのまま突入したが、終わってみれば出色のシーズンを送った。

 「これに満足せず、もっともっと試合に出続けられるような体をしっかり作っていきたい」と決意を新たにした。ポストシーズンを勝ち抜き日本一へ。中野の物語には、まだ続きが残っている。

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