阪神・岡田監督の“神采配” 左打者並べてマー攻略の6・7楽天戦 3番・DH右京「俺が進言したけどな」
就任1年目で見事に阪神を18年ぶりのリーグ制覇に導いた岡田彰布監督(65)。先の先まで読み切ったような采配は何度も見る者をうならせた。その“神采配”を振り返る連載。第2回は、左打者が5人続く異例のオーダーで田中将の攻略に成功した一戦を振り返る。
◇ ◇
仙台で快勝した夜、岡田監督はすこぶる上機嫌だった。「見事、的中したなあ。全部俺がやってんけどな。違うけど(笑)。前川の3番は俺が進言したけどな」。会心の笑みを見せたのは6月7日・楽天戦(楽天モバイル)だ。この試合では3番・ノイジーに代えて前日プロ初安打を記録したばかりの高卒2年目・前川を「3番・DH」に抜てき。8番から左打者が5人続く異例のオーダーで田中将の攻略に成功した。
「普通やったら左並べへんけど、向こうは松井(裕)一人やろ、中継ぎ」。相手のブルペンは8人中、7人が右投手。左打者を並べても問題ないと判断した。
「スタメンはあるかなと思ってましたけど、3番とは思っていなかった。前日に打てていたので『ヨッシャ!』ってなりました。3番で使ってもらって、普通にうれしかった」。ホテルでのミーティングで3番を告げられたという前川はそう振り返る。結果は5打数2安打。プレッシャーに感じるのではなく、若さと勢いで重苦しいムードを振り払った。
岡田監督が打線をてこ入れするのはチームの流れが悪くなったとき。楽天戦も移動ゲームに敗れた翌日だった。「負けてたら代えたなる。勝つためにどうしたら良いか」。指揮官は思案する。交流戦は苦しみながら、DHを活用してダメージを最小限に食い止めた。
選手の状態の変化にも敏感だ。8月は10連勝の後、3連敗。「ちょうどええ機会や。調子のええ者を使う」。9月1日からのヤクルト3連戦(神宮)は日替わりオーダーで臨んだ。
1戦目、2戦目は左翼のノイジーに代えてミエセス、小野寺を「3番・左翼」で起用。3戦目は2人の活躍に発奮したノイジーを、3番で3試合ぶりに先発起用して2打点。同カードで3番から6番に打順を下げた森下も3戦3発と大暴れした。絶妙な手綱さばきで打線を復調させ、11連勝と再びチームを波に乗せた。
「1番・近本、2番・中野、4番・大山」を核に戦い、打順はリーグ最少の65通り。巧みな用兵と根拠のある起用法で、連敗も最大5にとどめた。苦しい時こそ百戦錬磨の手腕が光った。
関連ニュース
