18年ぶりVの阪神・岡田監督 水面下であった政界進出の打診も拒否「またユニホーム着る日が」夢見た歓喜の胴上げ

 「阪神タイガース4-3読売ジャイアンツ」(14日、甲子園球場)

 阪神が2005年以来、18年ぶりのリーグ制覇を果たした。選手たちの手で6度、胴上げされ、満面の笑みで宙を舞った岡田彰布監督。今年の11月で66歳を迎える将が悔しさをにじませていた日々。誰よりも阪神タイガースを愛し、野球というスポーツを突き詰めたからこそ、歓喜の瞬間が待っていた。

 デイリースポーツ評論家時代、ここ数年は開幕前の優勝争いで必ず阪神を優勝候補に挙げていた岡田監督。それは単なる愛着ではなく、オフの戦力補強、2月のキャンプでセ・リーグの他球団を見て回り、総合的に判断した上での選択だった。

 だがチームは思うように勝てない。特に2021年は開幕からスタートダッシュを決めながら、ヤクルトに逆転された。戦力が充実しながら優勝へ届かないチームに厳しい言葉を発することも多々あった。

 「ホンマになぁ、歯がゆいんよ」-

 自ら指揮を執ることができればもっと勝たせてあげることができる。選手として、コーチとして、そして監督として、味わってきた美酒を今のメンバーに味わわせることができる。だからこそ再びユニホームに袖を通す日が来ることを待ち続けた。非公式ながら水面下で政界進出を打診された際には「まだユニホーム着る日が来るかもしれんやん」と断ったという。幼少期から阪神ファンで、投手から内野手へ転向したのは三宅秀史氏のアドバイスだった。早大のスター内野手としてドラフトでは当時史上最多となる6球団が1位で競合。阪神が交渉権確定のクジを引くなど、運命の糸で結ばれていた。

 中心選手として1985年の日本一、そして指揮官として2005年にはリーグ制覇を達成。それでも指導者への情熱は衰えなかった。「野球というものを教えてあげたい」。その思いが評論家時代の行動に現れていた。

 各球団がシーズンへの準備に励む2月、岡田監督の自宅のテレビにはキャンプ中継が映っていた。目に留まったのは5年連続日本一を達成していたソフトバンクの宮崎キャンプ。流行していた早期実戦の調整法ではなく、地道な振り込み、投げ込み、多くのノックを受けるメニューに「これだけ勝ってるチームが地味な練習してるんやで」とうならされた。同時に自らの野球学をアップデートしていった。

 実際に今年の宜野座キャンプは地味な練習から始まった。長いペナントレースを勝ち抜くための基礎作りを惜しまなかった。そしてシーズン。就任会見で標榜した投手を中心とした守りの野球が、近年の阪神のイメージを払しょくした。

 中野の二塁コンバート、木浪の遊撃抜擢、大山の一塁固定などで併殺の数は増えた。取れるアウトを確実に取ることで、相手に流れを渡さなかった。打線は四球を選ぶ重要性を説き、本塁打は少なくともリーグトップの得点力を誇った。

 投手陣はブルペンを前政権時のJFKのように固定するのではなく、調子のいい投手を優先的に使い、年間を通してハイレベルなクオリティを保った。先発陣では青柳らが不調に陥る中でも、村上、大竹が頭角を現し、「先発は9人」とうまくローテーションを回した。

 それも評論家時代に「こうすれば」と考えていたことをことごとく実践した岡田監督。練習メニュー改革に始まり、ポジション固定、適正なコンバート、そして打者の意識改革-。単に打つ、投げる、守るだけではない。綿密な準備と分析を重ねてきたオカダの野球学を注入することで、チームは完璧に生まれ変わった。

 「このチームはまだまだ強なるよ」と言った岡田監督。チームの主力は20代の選手が多い。「来年も楽しみですね」と指揮官は優勝インタビューで言った。黄金時代の到来へ-。その起点を岡田監督が作ったのは言うまでもない。

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