阪神・近本が“得点圏の鬼”になった要因 自ら分析「狙い球が絞りやすい」「目付けを前に」

 阪神の近本光司外野手(28)がデイリースポーツ読者に向けて、さまざまなテーマをもとに本心を明かす企画「謳歌」が再開する。1番打者ながら高い得点圏打率を誇るなど出色のシーズンを送っているが、その裏には新たな打撃の取り組みがあった。30日に「日本生命セ・パ交流戦」が開幕する中、チームは29日、初戦の西武戦(ベルーナ)に向けて移動した。

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 デイリースポーツの読者の皆さん、こんにちは。阪神タイガースの近本光司です。これから、よろしくお願いします。

 30日から始まる交流戦を前に、現在、3割を超える打率(打率・319)で5月を終えようとしています。数字だけを見ると好調のように思われるかもしれませんが、5月初めのように状態が落ちている時期もありました。

 自分の中では1カード3試合でヒットを3本打てたら「そこそこ」、4本なら「まあまあいい」、5本以上打ったら「状態がいい」というような目安があります。そういう意味では中日、ヤクルトなどと対戦した5月初旬の状態は決して良いものではありませんでした。

 今年は得点圏に強い(得点圏打率・487)とよく言われますが、本当になぜなのか、自分でも不思議です(笑)。取材の場でも話したことがあるのですが、理由の一つに「狙い球が絞りやすい」ということがあるのかもしれません。

 例えば得点圏でスライダーよりフォークが多くなるピッチャーだとすれば、スライダーはカウントを取るために使われる可能性が高いので、1、2球目くらいでスライダーを使ってきたら、そこからはスライダーを消して、真っすぐやフォーク狙いとなります。

 ストレートを右中間に飛ばそうとすると、フォークが来たら一、二塁間のゴロになります。逆にフォークを狙ってフライを打ちにいくとすれば、ストレートが来たらレフト方向にフライが飛びます。フォークのタイミングでボールの内側を打ちにいけば、外野フライは打てるなと思えば、気にせずそれだけを狙っていたら打てるなと。そんな感じでだんだんと狙いが絞られていきます。得点圏で「狙い球が絞りやすい」というのはそういうことなんです。

 今季は「目付け」のポイントを前にして打っています。「目付け」というのは、ボールがこの辺りのコースに来るだろうという意識のことです。ピッチャーがボールを離してから自分のポイントまで、(投手側から見て)だいたい3分の1くらい前で打つ、打たないの判断をしていたのですが、もう一つ前、4分の1くらいで判断するようにしました。すると、自然と打つポイントが前になるんです。

 きっかけは昨年、近藤健介さん(ソフトバンク)に聞いた話でした。近藤さんは選球眼がとてもいいんです。理由を尋ねたら、打つ、打たないの判断をものすごく早くしていると言っていたんです。昨年はできていなかったのですが、今年4月頃にその感覚が自分の中でつながったんです。

 これまではボールをできるだけ体の中に呼び込んでいました。ボールが体に近く、よく見えるので、打てる、ファウルにできると思って、ボール球にも手が出てしまっていたんです。「目付け」のポイントをできるだけ向こう(投手側)に置いてみたら、ストライクとボールがすごく判断しやすくなって、いいポイントで打てるようになったんです。例えば逆方向(左中間)に打ちたい時も、ボールを呼び込むよりも、「目付け」のポイントを前にして打った方が、ボールに伝わる力が全然違いました。その感覚がつながった時は非常に楽しかったです。

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