矢野阪神の4年が終わった 3戦完敗でCS敗退 ファンには「もう感謝しかないよね」
「セCSファイナルS・第3戦、ヤクルト6-3阪神」(14日、神宮球場)
矢野阪神終戦-。「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルSは14日、第3戦が行われ、阪神は3-6で敗戦。アドバンテージも含め0勝4敗となり敗退が決まった。2019年から4年間、指揮を執ってきた矢野燿大監督(53)にとってもラスト采配となった。就任が内定している岡田彰布新監督(64)=デイリースポーツ評論家=の下、阪神は新たなスタートを切る。
浜地、懸命のグラブトスから放たれたボールが、むなしく宙に浮く。衝撃の逆転劇に神宮の燕党が沸きに沸く中、好投を続けてきた青柳はベンチで顔色を失った。1イニング2失策、わずか1本の内野安打で5失点の大逆転負け。矢野阪神のラストページには、あまりにも切ないエピローグが用意されていた。
「勝てるチャンスがあっただけに悔しいし、野球の難しさとか、いろんなことは、この1試合だけでも経験させてもらえた」
矢野監督が振り返った惨劇は、3点リードで迎えた七回に起こった。青柳が3四死球で2死満塁のピンチを招き、渾身(こんしん)のスライダーでゴロに打ち取った山崎の打球が一、二塁間へ。これを一塁手のマルテが処理し、ジャンピングスローで二塁へ悪送球。2点が入る。
悲劇はこれで終わらない。1点差に迫られ、なおも2死満塁で打席には三冠王・村上。2番手・浜地が一塁前へのボテボテのゴロに打ち取る。浜地が必死に捕球し、グラブトスを試みたボールはマルテの頭上を通り越し、一塁ファウルゾーンにむなしく転がる間に、3者が生還した。
エースが抑え、4番が打って序盤から3点をリード。どう考えても勝ち試合だった。それでも土壇場で、指揮を執った4年連続でリーグワースト失策という矢野阪神の懸案だった守備のほころびが出てジ・エンド。ある意味では“らしい”エンディングを迎えてしまった。
試合後の矢野監督はヤクルトベンチ前へ出向き、高津監督と言葉をかわして握手。全員で整列をして一礼後、矢野監督は一人でレフトスタンド前に行き、帽子を取って、ファンにお礼をした。視線の先には「Thank You」「矢野監督お疲れさまでした」のボードが躍る。
「もう感謝しかないよね。最後にああやって声援して、送り出してもらえた。この選手たちとやれたこともそうやし、感謝しかない」。率直な心境を問われた矢野監督は、感謝の言葉を残した。『俺たちの野球』は、切なく終焉(しゅうえん)を迎えた。
〈矢野監督の足跡〉
2018年10月18日 大阪市内で1軍監督就任会見。チーム再建3カ条として『超積極的』『あきらめない』『誰かを喜ばせる』を掲げる
19年2月1日 春季キャンプ初日。選手の動きに「ヤル気とか伝わってきた」
同年3月29日 ヤクルトとの開幕戦でサヨナラ勝利を飾り“監督1勝”。シーズン中の『矢野ガッツ』を繰り出しながらの指揮で前年最下位のチームを3位に導く
同年10月5~13日 DeNAとのCSファーストS第1戦で最大6点差から逆転勝利。ファイナルSで巨人と対決も敗退
20年6月19~21日 巨人との開幕カードで3連敗。シーズンは最終的にリーグ2位
同年10月26日 ドラフト会議で1位指名した佐藤輝明(近大)を3球団競合の末、抽選で引き当てる
21年7月12日 DeNA戦をサヨナラ勝ち。試合後は「感動しています」と男泣き。シーズンは最終盤までヤクルトと優勝争いを演じるも2位に終わる
22年1月31日 春季キャンプ前日に22年シーズン限りで退任する意向を示す
同年3月25日~4月3日 悪夢の開幕9連敗。前半戦は史上最低勝率.063など苦しんだが最後にリーグ3位に食い込む
同年10月10日 DeNAとのCSファーストS第3戦、九回1死満塁のピンチで、自らマウンドへ行き、湯浅をゲキ
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