阪神・伊藤将 村上封じた魂の完投劇 “新フォーム”奏功で井川超え甲子園10連勝
「阪神9-1ヤクルト」(7日、甲子園球場)
111球の熱投で、チームの連敗を3でストップだ。阪神・伊藤将司投手(26)が9回5安打1失点で、2年連続2桁勝利に王手をかける9勝目を挙げた。ヤクルト・村上の連続試合出塁を「30」で止めただけでなく、自ら2点適時二塁打を放って勝利に貢献。甲子園10連勝も達成した左腕がこれからもファンの期待に応えていく。
歓喜の聖地を、大きな月が照らす。お立ち台には、満足そうに笑みを浮かべる伊藤将。「気持ちいいです!」。2004年に9連勝を達成した井川慶を超え、1980年・小林繁に並ぶ球団2位の甲子園10連勝を成し遂げた。
「ホームで一つでも多く勝てたら、1番ファンの方が喜んでくれると思う」
圧巻のリベンジ劇だ。前回対戦の8月17日・ヤクルト戦(神宮)では、8回完投も村上、山田に被弾するなど4失点で敗戦。「前回悔しい思いをしたので、梅さん(梅野)とやり返す気持ちで投げました」と雪辱の思いを燃やし、腕を振った。
注目の対戦は五回。チームが一挙6得点の猛攻を仕掛けた直後、場内の興奮冷めやらぬ中、先頭・村上を打席に迎えた。2球ボールが続いたが、そこからカウント2-2と追い込むと、5球目のカーブに村上は全く反応できず。相手主砲には珍しく、8月25日の広島戦の1打席目以来、52打席ぶりとなる見逃し三振を奪い「一辺倒では厳しいと思うので、緩急を使いながらやれた」とうなずいた。
アクシデントにも動じなかった。7-1の七回に、先頭・山田の打球が右太ももに直撃。マウンドに崩れ落ちたが、すぐに立ち上がりプレーを続行した。続く村上を初球チェンジアップで二ゴロ併殺に仕留めて、不安を払拭(ふっしょく)。結局この日は村上に出塁を許さず、7月29日・広島戦から続いていた連続試合出塁を「30」でストップさせた。
“新フォーム”が功を奏している。6月中旬頃から、トップの位置まで左手を早く持っていく意識を持つようにした。腕の振りがワンテンポ遅れ、抜け球となることを防ぐ効果をもたらした。さらに「今のフォームとすごく合ってて」とカーブをはじめとした変化球の制球の安定につながったという。
最後までマウンドに立ち続け、両リーグ最多6度目の完投で5安打1失点、無四球。5試合ぶりの白星となる9勝目を手にし、2年連続の2桁勝利に王手をかけた。「残り試合も少ないですし、規定(投球回)も、もう少しというところなので、もうひと踏ん張り投げていきたい」と左腕。この一勝を弾みに、ラストスパートをかける。
◆伊藤将の甲子園10連勝 甲子園10連勝は、阪神では小林繁が1979年9月5日・巨人戦から80年7月4日・大洋戦まで10連勝して以来。最多は66年と70~71年にいずれも12連勝(2リーグ分立後)した村山実。
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