「阪神１－０広島」（３０日、甲子園球場）

　阪神、オリックスで監督を歴任した本紙評論家・岡田彰布氏が３０日、阪神－広島戦を解説した。阪神は勝ち投手こそ逃したが青柳の力投を評価。また、広島の八回２死カウント３ボールからの大山勝負には疑問を呈した。

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　阪神先発の青柳は何としても勝つ、チームを勝たせるという気持ちが見えた投球だった。

　１～７番まで左打者を並べた広島打線に対して、１巡目はファウルにされる球が多く、球数が多かった。

　左打者へのスライダーが、ほとんどボールとなり、真ん中から外角へ直球系中心で攻めていたため、ファウルで逃げられていた。

　それでも粘った。青柳本来の『打たせて取る』のではなく、『力投型』の投球で７回４安打無失点。相手先発が森下ということもあり、「絶対に先に点をやらん」という気持ちを感じた。なにより今日は内容よりも結果が重要だったし、負けられない中でよく投げた。

　だが、打線はまたも森下を攻略できなかった。打線全体に直球を捉えられていない印象がある。

　四回の近本と佐藤輝のヒットは、ともにチェンジアップを打った。森下はチェンジアップもカーブもいい投手だ。だが、どの投手も直球が基本で、一番投げてくる球種だ。

　どの投手と対戦する時も、まず直球を打ち返せるようにならないといけないのだが、阪神の打者はタイミングが遅れており、差し込まれ過ぎている。広島とは６試合を残しており、森下とは９月に対戦する可能性がある。対策を講じてもらいたい。

　試合は八回に大山のソロが飛び出し、この１点で阪神が勝利した。ただ、広島はベンチ、バッテリーを含めて、できることは全てやり切ったのか疑問が残った。

　本塁打が出た場面は八回２死、カウント３－０。試合終盤で、打者は長打のある大山だ。後続の打者を考慮しても、普通なら申告敬遠で歩かせる場面だ。カウント２－０となった時点でも歩かせてよかった。

　それでも勝負を選択して本塁打を浴びた。悔いが残るだろうし、ＣＳ争いをする上で痛い１敗となった。