阪神逆転勝利で最下位脱出 「もう突っ込むだけだなと」熊谷が延長十一回奇跡呼ぶ“神走塁”

 延長11回、二盗後、送球が逸れる間に一気に生還した熊谷(撮影・田中太一)
 生還を果たし、佐藤輝(左端)らナインに迎えられる(中央)
 二盗の際、ヘルメットにボールが当たる
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 「オリックス2-3阪神」(11日、京セラドーム大阪)

 これぞ神走塁だ。阪神が延長の末、オリックスに勝利した。2-2の延長十一回、佐藤輝の代走で出場した熊谷敬宥内野手(26)が二盗を敢行。送球がヘルメットに当たって外野を転々とする間に三塁を回って一気にホームを陥れた。ヤクルトが勝ったため交流戦初優勝はならなかったが、リーグ戦では今季初めて最下位から脱出した。

 ヘッドスライディングで熊谷が決勝のホームに滑り込むと、選手総出で飛び出した阪神ベンチは、まさにお祭り騒ぎとなった。

 今季初の最下位脱出となる逆転勝利を生んだのは、スペシャリストの“神走塁”だった。2-2で迎えた延長十一回。先頭の佐藤輝が2打席連続の安打で出塁すると、代走で登場したのが熊谷だ。

 「心臓がバクバクしていましたけど、何とか仕事をしようということだけを考えて。走るしかないと思って次の塁だけを狙っていきました」

 大山が倒れて1死となると、代打・ロハスの打席で魅せる。カウント2ボールからの3球目に抜群のスタートを決め、タイミングは悠々のセーフ。ここで捕手・伏見の送球が、滑り込んだ熊谷のヘルメットに当たり、中堅方向へ転がった。

 素早く立ち上がると再び激走。「ボールがどこに行ったか分からなかったんですけど、三塁コーチの藤本さんが腕を回していたので、もう突っ込むだけだなと」。最後は頭から滑り込み、左手で本塁をタッチ。ベンチに戻った“走のヒーロー”はヘルメットを激しくたたかれる手荒い祝福を受けた。

 プロ入り5年目で初のヒーローインタビュー。実はドラフト3位で指名された直後のこと。仙台市立南光台小、同南光台中の先輩に当たるサンドウィッチマン・富澤の鉄板ギャグ「ちょっと何言ってるか分からない」をお立ち台で披露することを宣言していたが…。「きょうは無理です…なんも考えてない」。チームNo.1と言われる甘いマスクをほころばせながら、照れ笑いを浮かべた。

 ギャグの披露とはいかなかったが、代わりにインタビューを締めくくったのは力強い言葉だ。「僕らも最後まであきらめずに戦いますので、応援よろしくお願いします!」。チームは交流戦Vこそ逃したが、この勝利で中日を抜き、今季初めて最下位を脱出した。まだ終わっていない。ここからの“神撃”で、ひとつずつ順位を上げていく。

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