岡義朗氏が指摘 阪神は「早い仕掛けが必要だったのではないか」相手バッテリーに重圧かけられず

 「ヤクルト1-0阪神」(23日、神宮球場)

 阪神、広島、オリックスなどでコーチを歴任したデイリースポーツ評論家・岡義朗氏が23日、神宮球場で行われたヤクルト-阪神戦で本紙の解説を務めた。痛恨の完封負けで好投したウィルカーソンを見殺しにした阪神打線。岡氏は走塁の視点から、早い仕掛けがあれば展開は変わったかもしれないと指摘した。

  ◇  ◇    

 阪神から見てこの試合には3つ、走塁のポイントがあったと思う。一つ目は初回に重盗を成功させたが、欲を言えば熊谷が安打で出塁した直後、1死一塁の場面で早いカウントから仕掛ける動きを見せてほしかった。

 左腕の石川からは一塁走者の動きが見える。そして捕手の内山壮はまだ1軍での経験が少ない。仕掛けることによって配球が変わるし、石川の生命線とも言える低めの制球力に乱れが生じる可能性を高めることができる。内山壮からすれば、盗塁を阻止するために外寄り直球系の要求が多くなるだろう。

 スチールでなくとも例えば偽装スタートを試みてみる、ヒットエンドランなど動きを見せることで、バッテリーはプレッシャーがかかる。逆に動かなければペースを崩さず、配球も自分本位で組み立てることができる。打席に佐藤輝が立ち、長打があるから機動力を使いづらいと考える向きもあるかもしれない。それならば2番にはより出塁率の高い打者を据えるべきだろう。

 五回無死一塁でも最終的に平行カウントからのヒットエンドランで併殺打になったが、一塁走者の中野は早いカウントで仕掛けられなかったか。梅野が仕掛けるのを待っているようにも映った。平行カウントでスタートを切るのは言わば定石。カウントが進むまでに動けなかったか。これが二つ目のポイントだ。

 そして三つ目は七回、代走・島田が初球スチールを仕掛けて憤死した場面。けん制球を受けながらスタートした本人の勇気は認める。これを責めてはいけない。ただ内山壮がスローイングしやすい外角直球を要求するなど、“見え見えの力勝負”に行かざるを得なかった原因はしっかり分析してほしい。そしてチームとして序盤から仕掛けていれば、逆に島田も駆け引きができたのではないだろうか。

 この日、ヤクルトバッテリーからは1点リードの緊迫した場面でも余裕が感じられた。序盤から動いて内山壮にプレッシャーをかけていれば違った展開になっていたかもしれないし、昨年までの阪神は積極的に機動力を生かしてそういう野球ができていた。今季は投手陣の不安要素などあるかもしれないが、野手のメンバーはほぼ変わっていない。仕掛ける重要性を改めて考えてほしい。

 そして自分が広島の現役時代に古葉さんが監督で、初球スチールのサインでスタートを切れず、ベンチに戻るとめちゃくちゃ怒られた。それでチーム全体に初球から行かなきゃいけないという意識が植え付けられた。だからこの日、初球からスタートを切った島田の勇気を、チーム全体で受け止めてほしい。

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