【岡田彰布氏の眼】阪神・矢野監督は「明るく前向き」方針掲げたなら貫け

 開幕9連敗を喫し、悔しさをにじませながら引き揚げる佐藤輝ら阪神ナイン(撮影・田中太一)
 9回、ベンチから試合を見つめる矢野監督
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 「巨人9-5阪神」(3日、東京ドーム)

 阪神がリーグワーストを更新する開幕9連敗を喫した。阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏(64)は、矢野燿大監督(53)の「変化」を指摘。就任から“矢野ガッツ”など明るく前向きに戦う方針を掲げているが、今は硬い表情ばかり。岡田氏はチームを立て直すためにも、監督がぶれずに戦う必要性を説いた。

  ◇  ◇

 シーズンに好不調の波はあるとはいえ、阪神の開幕からの連敗は「9」にまで伸びた。私も経験がなく、どういうチーム状況なのか想像ができない。ただ、阪神ベンチを見ていて、矢野監督の姿が気になった。

 前提として、私は監督が試合中に一喜一憂する必要はなく、勝つために冷静に状況を判断して、采配すべきという考えだ。

 監督として指揮を執っていた時は、喜怒哀楽は出さないようにして、いつもマイナス思考で試合に臨んでいた。常に最悪を想定していれば、何が起きても対応しやすくなるからだ。

 何より選手は監督の姿を見ており、変化を敏感に感じ取る。不測の事態が起きた時に監督が慌てると選手にも伝わり、「監督は不安なのか?」など動揺を生んでしまう。

 だから、私はどっしりと采配することを貫いた。監督が喜ぶのは優勝をした時だけでいいと思っている。

 矢野監督は私と考え方が違っており、就任時に明るく前向きに戦う方針を掲げている。ならば、なぜ貫かないのか。

 今はベンチ内で笑顔もガッツポーズも消えている。九回に木浪と梅野がホームランを放った時も、ベンチで選手を迎える表情は硬いままだった。選手はそういう今までとは違う姿を見ている。監督がぶれると、チームに与える影響は大きい。

 巨人3連戦でも悪循環は変わらず9連敗となり、どうしようもない状況だろう。だが、シーズンはまだ134試合も残っているし、5日・DeNA戦からは甲子園に戻る。立て直していくには、指揮を執る監督としての「姿」も重要になる。

 9連敗を振り返ると、3月25日の開幕・ヤクルト戦で7点差を守れず、逆転負けしたことから始まった。流れとはそういうもので、あの試合がきっかけとなり、どん底にまで落ちてしまった。やはり、勝負事は怖い。以前も書いたことだが、隙を見せないことが重要だ。

 この試合で先発したガンケルは結果どうこうより、状態を見極められていたのだろうか。初回1死二塁から2者連続四球を与えたり、変化球がばらついたり、本来の制球力が見られなかった。

 1軍で投げる投手は「投げられたらいい」ではなく、「万全」でなければ勝つ確率は下がる。ガンケルが見切り発車だったならば、開幕3戦目でまずまずの投球を見せた桐敷を先発させる選択もあったはずだ。チーム内の状況もあるとは思うが、万全の準備をした上で試合に臨んでもらいたい。

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