阪神・藤浪の再起に必要なものは?まず短所を認めることから始めよ 高代氏が提言

 阪神・藤浪晋太郎投手(27)は今季、どうなる?低迷が続く昨季の開幕投手に対し、デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「投手力強化に必要な存在だが、まず変わろうという自分自身の強い意欲が大事」と意識改革を求め、再起に期待した。

  ◇  ◇

 藤浪についてはメディアに取り上げられる回数も、タイガース関係者から耳にする機会も、少しずつ減ってきている。

 これまで何人もの人たちが手を差し伸べてきたのになかなか成果が出ず、もどかしい状態が続いているね。昨年の開幕投手で、持っているものは一級品だけに本当に惜しい。

 昨年はこの時期に、当コラムで彼のことを書こうと考えたこともあったが、そっとしておいた方がいいのかなと思い直して、触れなかった。

 ただシーズンを終えて改めて思うのは、藤浪には自分自身を“変える”という強い意欲と意識が必要ではないかということ。そのためには、まず自分の良いところだけでなく、良くないところも認めることから始めるべきではないか。

 球が速いというのが最大の長所。これは自他ともに認めるところだろうし、制球難が短所というのも同様でしょう。

 150キロ後半のストレートで豪快に三振を奪う反面、簡単に弾き返される。コースに決まりカウントで追い込めば強いが、ボールが先行するとモロい。

 そして、もうひとつ大事な作業がある。守備だ。投げるばかりが投手の仕事ではない。

 打球処理に関して言うと、藤浪の動きは決してスムーズとは言えない。投ゴロを捕球しても送球距離を短くするため、一塁方向へ走りながらトスをする場面が見られ、依然として苦手意識がうかがえる。

 至近距離への送球が苦手な投手はいるものだ。青柳や秋山も同じ悩みを抱えている。しかし、2人はいわゆる“イップス”であることを認めて必死にその克服に努め、成果を出してきた。

 1人で“壁当て”をして、地道に送球練習を繰り返す姿も実際に見てきた。

 ピッチングだけではなく、藤浪はバント処理など課題は少なくない。序盤好投していても1つの“ミス”で局面がガラッと変わってしまうのも彼の特長。

 今年は巨人の菅野に依頼する形で合同自主トレを行い、キャンプに臨むと聞いている。相手はライバル球団のエースだ。中には「何で菅野やねん!」と疑問に思うファンもいるだろう。

 北條が高校の先輩の坂本を頼っていったことはあったが、かつて阪神の看板を背負った投手が、巨人のエースと一緒に自主トレをやった話など聞いたことがない。

 なりふり構っていられないということなのだろうが、たとえ成果が出ても、あるいは出なくても、どこかスッキリしないのが今回の合同トレ。

 それ自体に口を挟むつもりはないが、相手が実績豊富な投手だから“何かを得られるかも”という安易な気持ちなら何も得られないと思う。頼っていてはダメだ。

 これまでの藤浪は、たとえアドバイスを取り入れても、一度おかしくなると捨ててしまうため継続できず、常に迷いの中にいるように見えた。その一方でだれかを頼っているようにも見える。

 今年が10年目。過去に小さなブランクはあっても大きな故障はなく、スピードも変化球の威力も落ちていない。単純に結果が出ていないという状態なのだから“復活”ではなく“再起”を目指すということになる。

 左肘クリーニング手術明けの高橋遙は開幕に間に合いそうにないが、及川やアルカンタラが先発に回る。そこへ藤浪も加われば競争は激しくなり投手力の強化につながるはず。

 心機一転、再起するために必要なものは何か。菅野から学ぶものがあるとすれば、技術より自分を変えるためのヒントではないかと思うのだが…。

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