阪神・岩田が現役引退を決断 虎一筋16年 1型糖尿病と戦った“希望の星”

キャッチボールで汗を流す岩田(代表撮影)
練習前の円陣で話を聞く岩田(中央)=代表撮影
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 阪神・岩田稔投手(37)が今季限りでの現役引退を決断したことが29日、分かった。虎一筋16年。大阪桐蔭在学時に発症した1型糖尿病と闘い、プロ通算60勝を積み上げた左腕がユニホームを脱ぐ。近日中にも球団から正式発表される。

 今季は6月に中継ぎに転向し、1軍で3試合に登板。新境地を切り開いたが、後半戦は2軍暮らしが続き、来季構想外となっていた。28日には今後について「まだですね。それしか言えないです」と話していたが、第2の人生に進む決意を固めた。

 逆境に屈しない野球人生だった。高校卒業後、社会人野球に進む予定だったが、1型糖尿病を理由に白紙となった。その後は大阪桐蔭・西谷浩一監督の母校でもある関西大へ指定校推薦で進学。高校時代に不安のあった左肘、腰の状態を整え、遅咲きながらプロ入りへの扉をこじ開けた。ちなみに大学時代に登板したオープン戦で、事実上の内定を取り消された社会人チームを抑え込んでいる。

 岩田の阪神入りに尽力したのが、当時スカウトを務めていた山口高志氏(現関大野球部アドバイザリースタッフ)。岩田にとっては大学の大先輩でもある伝説の剛腕投手だ。山口氏は岩田の主治医とも会い、1型糖尿病でもプロ入りに問題なしとの見解を得て球団に推薦した。

 プロ入り2年間は0勝。勝負の3年目に10勝を挙げて飛躍した。その後は先発ローテーションを外れることもあったが、何度も復活。ローテーションの谷間で快投するなど、ここぞの踏ん張りどころで結果を出してきた。

 グラウンド外では1型糖尿病患者のためのチャリティー活動を継続。球団からは社会貢献活動を表彰する「若林忠志賞」も贈られた。現役引退後は球団スタッフとして残る道も含め検討していくが、何らかの形で同様の慈善活動は続けていきたい考えがあるという。ユニホームは脱ぐが、岩田はこれからも1型糖尿病患者の“希望の星”であり続けることに変わりはない。

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