阪神・中野 「強い気持ち」で2点千金打 バント失敗「終わったこと」成長の証
「巨人0-3阪神」(25日、東京ドーム)
前夜のビッグプレーから一夜明け、虎党の期待はさらに高まっていた。八回1死二、三塁。阪神・中野が打席に向かうと、三塁側のスタンドから拍手が降り注ぐ。マウンドには菅野。追い込まれたが、必死にバットを伸ばした。
歓声に後押しされた打球が、左中間の人工芝に弾む。一気に2者が生還。天を仰ぐ菅野と対照的に、中野は二塁上で右拳をグッと握りしめた。
「遥人(高橋)さんが頑張ってくれていたので」と、好投の高橋を援護する一打。そして自らのミスを取り返す適時打にもなった。初回無死二塁では送りバント失敗。それでも「終わったことなので、切り替えて」と攻める気持ちを貫いた。前半戦もミスをした翌日に力を発揮。「強い気持ち」が中野の持ち味だ。
「レギュラーで出るためには、取り返すようなプレーをすることが大事」。しかし、前半戦は「その日に切り替えることはうまくできなかった」。ただ、試合を重ね、心身共に成長。残り24試合となった今は、試合中に気持ちを整理し、貴重な一本を生み出した。
菅野には、2試合の対戦で6打数3安打。ここでも「日本を代表する投手なので、自分が引いていては打てない」と積極的にスイングした。矢野監督はバント失敗を指摘しながらも、「追い込まれてからよく打った」とここぞの勝負強さをたたえた。
連日の活躍に、スタンドでファンが掲げる応援タオルも日に日に増えている。「自分に与えられた役割をやっていけるように」。また、中野のプレーが虎党をとりこにする。