【西山秀二氏の眼】阪神のゲームプランが見えなかった
「ヤクルト1-0阪神」(15日、神宮球場)
阪神ベンチのゲームプランが見えなかった。初回に1番・近本が二塁打で出塁した後、続く中野はバントの構えも見せずヒッティングで凡退した。相手先発はエース級の小川だ。どのようにして勝つかを考えた時、大量得点を期待するより、例えば1点ずつ積み重ねて五回までに3点を取れればといったゲームプランが考えられる。
そういう意味で初回は中野にバントさせて1死三塁の状況を作った方が、試合を優位に進めることができたかもしれないし、阪神先発はゲームを作れる伊藤将だ。安定感を欠き計算できない投手なら、より多くの得点を取りにいくことも分かるが、そうではない。
さらにシーズン序盤ならヒッティングの強攻策もいいと思う。だが、今は優勝争いをしている終盤。ゴールが見えかかっている時期なのだから、手堅く1点でも先制できる可能性が高い形にするべきだったのではないか。
一方のヤクルトは、失敗したが五回に投手・小川にスクイズさせるなど貪欲に1点を取りに来た。『責任はベンチが取る』という高津監督の勇気と決断力を感じたし、それがチームの好調につながっているのだろう。
また、まだ二回という状況で梅野を申告敬遠するなど慎重に1点を守りに来た。試合序盤での両チームの1点に対する姿勢が対照的だった。この日、もし阪神が負けなかったら14日のドローの価値はさらに高まった。結果的に初回の攻撃と1点に対する意識の差が勝敗を分けたといえる。