「広島５－０阪神」（２９日、マツダスタジアム）

　広島の４番・鈴木誠の本塁打が決勝点となり、阪神は広島に３連敗、３位に転落した。数多くの主力打者と対決してきた本誌評論家・佐藤義則氏に、鈴木誠のバッティングはどう映ったのだろう。

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　阪神先発・秋山が初回２死二塁で、鈴木誠に２ランホームランを許した。結果として、これが決勝点となってしまった。

　その後の立ち直りを見ても、秋山は不調ではない。二塁走者は失策で出ただけに、動揺もあったかもしれないが、このホームランは初球、外角へのカットボールを捉えられたものだ。避けることはできたし、今後繰り返さないためにも、しっかりと見つめ直したい。

　そもそも、右打者の外角へのカットボールというものは、細心の注意を払う必要がある球種だ。

　もとは、右投手が、左打者を詰まらせるために、直球と思わせておいて、わずかに食い込む動きをする。これが、相手が右打者で、特に外国人選手や鈴木誠のようなリーチのある打者は、届いてしまう。しかも直球より球速が落ちるため、長打になる危険も大きい。

　投げるのであれば、左打者であれば高くても詰まるかもしれないが、対右なら低め、バットが届いても打ち返せない高さに投げるというのが鉄則だろう。

　しかも、初球だ。今の野球はじっくり見るより、打てる球を若いカウントからどんどん振っていくのが主流だ。

　仮にファウルや空振りであっても、ただの１ストライク。バッターにはまだまだ余裕がある。その余裕がさらにバッターのスイングをよくする。そうやって思い切り振ってくる中で、手が届くところへの半速球。これはリスクが高い。そこの工夫は、今後、秋山に求められるところだろう。