阪神・北條 先制V撃 昇格即2安打2打点「回ってこい!と待っていました」

 5回、左前タイムリーを放つ北條(撮影・飯室逸平)
 スタンドのファンに手を振る北條(左)
 1回、伏見の打球を好捕する北條(撮影・山口登)
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 「阪神2-1オリックス」(2日、甲子園球場)

 俺の存在を忘れるな!阪神の北條史也内野手(26)が今季初先発で決勝打を含む2安打2打点の活躍を見せ、チームを勝利に導いた。三回に左前へ先制適時打を放つと、五回にも2打席連続の適時打をマーク。4月に左足首の負傷で出場選手登録を抹消され、この日1軍に復帰したばかりの若虎がいきなり大仕事を成し遂げた。

 六甲おろしが大音量で響く甲子園。北條は右翼席で待つ虎党の方に向かい、帽子を取って万雷の拍手に応えた。無敗を誇っていたオリックス・宮城を粉砕する2打席連続タイムリー。殊勲のヒーローは恥ずかしそうに笑い、余韻をかみしめた。

 「初スタメンのことはあまり考えず、ファームでやってきたことを全部出そうと思って、試合に臨みました」

 不振のロハスに代わって1軍に昇格し、即「2番・二塁」で今季初のスタメン出場。「チャンスで回ってこい!という気持ちで待っていました」。燃えに燃えていた。何が何でも結果を出そうと気合をみなぎらせていた。そんな中で迎えた0-0の三回2死二塁。宮城の内寄り150キロ直球に食らいつき、しぶとく三遊間を破った。

 先制適時打に思わずガッツポーズ。さらに五回1死一、二塁で今度はチェンジアップに食らいつき、再び左前に運んで2点目をたたき出した。二塁守備では、初回2死満塁の場面で伏見が打った二遊間のゴロを飛び込んで捕球。素早く一塁に送球し、秋山を救った。

 4月24日・DeNA戦(甲子園)の試合前練習中に左足首を痛め、同日に出場選手登録を抹消。同じ内野手のドラフト6位・中野(三菱自動車岡崎)が台頭し、チームも快進撃を続ける中、悔しさを押し殺しながら「レベルアップを」と2軍で打撃力向上に励んだ。

 2軍戦は11試合に出場して打率・323。1軍昇格の連絡を受けた北條はこの日の朝、鳴尾浜に向かった。お世話になったファームのスタッフらにあいさつ。平田2軍監督は「気合ぶち込んだよ。気合をぶち込んで送り込んだ。次帰ってきた時には居場所なんかないよ!」と背中を押した。

 5勝目を挙げた秋山と並び立った試合後のヒーローインタビュー。北條は右腕への質問に間違えて割って入ってしまい、ファンに笑いまで提供した。「僕の名前を呼ばれたんで。僕かなと思って。めちゃめちゃ恥ずかしかった(笑)」。矢野監督は「チームを救ってくれた」と感謝。プロ9年目、今年勝負を懸ける男が光り輝いた。

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