「西武７－１０阪神」（２８日、メットライフドーム）

　スーパールーキーがチームを救った。阪神・矢野監督は興奮気味に、佐藤輝へ感嘆の声を漏らした。

　「いやぁスゴかったなぁ…。これはもう俺の生涯忘れることできへん試合の一つになるな…スゴかった」

　２点差を追いついた九回の場面で決勝３ランを放つということ自体が並の選手ではない。しかもこの日３発目なのだから恐れ入る。

　「変化球を空振りして追い込まれた中のあの速い球を一発で仕留めたというのは、ホンマに状況も場面もそうやけど、すべてが見事やった。単なる一本じゃないし、チームも救えた。内容もスゴいし、うん。スゴかった」。『スゴい』を連発して賛辞を贈った。

　これが強打を誇るパ・リーグの強さなのか。突き放しては何度も追いつかれる苦しい展開だった。佐藤輝の一発、中野の適時打。序盤にルーキー２人で２点をたたき出すも、五回に青柳がつかまり追いつかれる。

　すぐさま六回にサンズ、佐藤輝の連弾で再び２点をリードするも再び追いつかれ、１点をリードした七回には、馬場が３点を失ってついに逆転を許す。３度のリードをひっくり返されて、さすがにジ・エンドかと思われたが…。すべては伝説的な３発目へのお膳立てだったのかと思わせる結末が待っていた。

　４月２７、２８日の中日戦以来、１カ月ぶりとなる連敗も回避した。「この逆転はめちゃくちゃでかいよね。すごく嫌な展開だったから。単なる１勝じゃなくて、本当に大きな１勝。ピッチャーも打たれる時もあるし、そこをバッター陣が救ってくれた。本当に大きな１勝だと思います」

　優勝した２００３年以来、球団史上２度目となる両リーグ３０勝一番乗り。この劇的な勝利は、きっと語り継がれていく１勝となる。