阪神バッテリーの作戦勝ち 裏をかく配球でロッテ打線は混乱 西山秀二氏の視点
「阪神3-2ロッテ」(26日、甲子園球場)
阪神の先発・秋山が8回3安打1失点、6奪三振で4月30日・広島戦(甲子園)以来となる4勝目を飾った。デイリースポーツ評論家・西山秀二氏は強打のロッテ打線を手玉に取ったバッテリーを称賛した。
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阪神の秋山-梅野のバッテリーによる作戦勝ちだった。プレーボールから秋山は、8球連続直球を投げ込んで、「変化球が多いだろう」というロッテ打線を混乱に陥れた。
速くても140キロ程度の直球を、バンバン投げ込むという、相手の想像を超えた配球によって迷いを抱えることになったロッテ打線は、秋山がそれ以降“通常運転”に戻ったにもかかわらず打ち損じを繰り返し、七回までわずか1安打と苦しんだ。
梅野も前日の敗戦の悔しさを何とか晴らしてやろうと、考え抜いての、立ち上がりの配球だったのだろう。
この勝利には大きな価値がある。というのも、梅野ならずともこの試合、絶対に勝たなくてはならないと考えていたはずだ。連敗となると、焦りが入ってくる。落ち着いて、自分の野球をできなくなる。そうした悪循環にはまる恐れもあったからだ。
まだ交流戦2日が終わったばかりだが、セ・リーグの7勝3敗。この数字が示す通り、昨年までとは多少、図式が変わっていると見ていた。
つまり、セ・リーグの選手が太刀打ちできないようなパワーヒッター、パワーピッチャーが、パ・リーグの特徴だったが、それが薄まってきている。
突出したパワーヒッターはソフトバンク・柳田、楽天・浅村くらい。セの打者が手も足も出ないパワーピッチャーも思い浮かばない。つまり、ちゃんと野球をやればセ・リーグが力でねじ伏せられることはない。
だからこそ、ちゃんと野球ができる体勢を整えることが大切で、阪神にすれば連敗だけは避けたかった。この危機を救った秋山と梅野のバッテリーは、功績大、と言いたい。