「巨人５－６阪神」（１６日、東京ドーム）

　亀井のバットが空を切った瞬間、Ｇ党のため息を上回る虎党の歓声がドーム内を支配した。ビジョンに表示された球速は１６２キロ。昨年１０月１９日のヤクルト戦（甲子園）で藤浪がマークした、球団最速に並ぶ剛速球で、阪神・スアレスが緊迫の試合にピリオドを打った。

　１点差の九回にマウンドに上がると、まずはスモークを低めへの１６０キロ直球で見逃し三振に斬る。若林は中飛、そして最後は５球オール直球勝負の末に亀井から空振り三振を奪った。

　「とにかく何よりもチームが勝った、ジャイアンツに勝ち越したというのが大きいし、うれしいです」。スアレスはこれで１８試合連続無失点とし、リーグ最多１２セーブ目。今季２０試合登板で失点わずか１、防御率０・４５とすごみを増している。

　苦しい展開だった。六回に失策も絡む形で１点差に詰め寄られた。打線は五回以降、１人の走者も出せず。後半の流れは完全に相手にあった。それでも岩貞－岩崎－スアレスの“必勝パターン”は得点を許さなかった。

　七回を三者凡退に斬った岩貞は「気持ちで抑えました」と振り返る。八回は岩崎が１回無失点でリーグトップタイの１６ＨＰとした。頼もしすぎる救援陣に矢野監督も「ほんと頭が下がる」と最敬礼だ。０５年リーグ優勝を支えた『ＪＦＫ』に劣らぬ絶大な信頼度。彼らがいる限り、阪神の進撃は止まらない。