阪神・矢野監督会心タクト 糸原足スト!陽川絶妙バント!全員野球でDeNAに勝ち越し
「阪神7-5DeNA」(25日、甲子園球場)
直前に逆転を許し、1点を追う七回の攻撃。無死一、二塁となったところで、DeNAベンチが投手交代を告げる。投球練習を待つ間、阪神・矢野監督が次打者の陽川を呼び寄せた。
「オマエ、緊張してるやろ」と声を掛けると、陽川は「大丈夫です!」とキッパリと答えたという。
「その顔を見て大丈夫かなと。むちゃくちゃプレッシャーがかかって緊張するところ。落ち着いて、よくやってくれた」
長打も一発もある陽川に犠打のサイン。2ボールから三塁線ギリギリに転がす絶妙な送りバントで1死二、三塁とした。この犠打が効き、大山の浅い中犠飛で三走・近本が同点のホームを踏む。そしてサンズの2ラン。一気に試合を決めた。
「ああいうところは試合の流れの中でも大きなプレー。陰の功労者というか、ヒーローかなと思う」。指揮官は逆転の流れを呼び込んだ犠打を絶賛した。
試合を決めたのはサンズの一発だ。だが、この日は陽川の犠打だけでなく、糸原の隙を突く走塁など、矢野阪神の目指す全員で点を取りに行く野球が随所に見られた。「全員で戦うっていうのがウチの野球。チーム全体で行けたかな」と矢野監督も胸を張る。
ここまでの17勝はすべて先制を決めて、リードを守り切ったものだった。今季初の逆転勝ちは、2度のビハインドをはね返した。カード初戦の23日は、藤浪の乱調に、佐藤輝の手痛い失策もあって大敗。“ショック”を引きずらずに勝ち越しを決めたことも含め、このあたりが今の真の強さかもしれない。
これで今季のデーゲームは9戦9勝となり、貯金は11に。「どんどん積み重ねていくことしか考えていない。全員で戦う野球をやって、目の前の試合を全力で取っていきます」。デーゲームが増えるゴールデンウイークを、さらなる“貯金ウイーク”にしてみせる。