球児との出会いは財産 恩師・山口高志氏手記

 今季限りで現役を引退する阪神・藤川球児投手(40)が10日、甲子園で行われた巨人戦で4点ビハインドの九回からラスト登板に臨んだ。元阪神タイガース投手コーチ・山口高志氏(70)が、藤川の引退試合に際しデイリースポーツに手記を寄せた。

  ◇  ◇

 球児、お疲れさん!いつか来るやろうと思っていたけど、長いことよく頑張りました!最後は久しぶりに思い切り投げてたなあ。全球真っすぐで燃え尽きた感じやね。

 2003年にオレが阪神の2軍投手コーチになったころ、球児は常時140キロ以上の球を投げていたわけやから、能力的な高さは間違いないと思ってた。ただ故障が多かった。たまに1軍でも投げてはいたけど、毎年同じような繰り返しやったから、ちょっと変わらなアカンと思った。

 投球フォームを見ると、左足を上げて右足で立つ時に右膝が折れていた。右の上手投げピッチャーが、右膝が折れて沈むことは絶対におかしい。せっかくマウンドに傾斜がついてるのに、沈み込んでしまったら角度がなくなる。だから「右膝の折れをなくして上からたたくように投げてみたらどうか」とアドバイスした。

 右膝の折れいうても1センチぐらいしかない。それでもこの1センチの違いが、18・44メートル先のホームベース上では大きな違いになる。

 上からたたくように投げれば、時には高めのボールになるかも分からんけど、強いスピンがかかってバットの上を滑るボールになるし、低かったら伸びて見えるようになる可能性がある。球児はこの投げ方がはまって一気に成長したわけやけど、もともとそれだけええもんを持っとったということやろう。

 球児が1軍に定着し始めたころやったかな。オレが夜に家で一杯飲んで寝転がってテレビのナイター中継を見ていたら、球児が出てきた。センターからの映像で球児が投げたボールを見た瞬間、パッと起き上がった。びっくりした。こんなに良くなったんかと。速さも増しとったけど、キレいうかな、低めのボールが浮き上がるような、速さよりもキレを感じた。

 球児との出会いはオレにとって財産やな。球児ぐらいの選手になれば何が正解か分かれへんけど、これからの人生のことをゆっくり考えてほしい。これからの方が長いんやから。落ち着いたらメシ行こう。

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