「ＤｅＮＡ６－５阪神」（１日、横浜スタジアム）

　虎の韋駄天が球団史に新たな記録を刻んだ。阪神の近本光司外野手（２５）が２盗塁を決め、球団史上初となる新人から２年連続３０盗塁をマークした。さらに打撃では、１０月２８日・中日戦以来今季６度目となる４安打の固め打ち。打率を・２９８と上げ、大台を完全に視界に捉えた。試合は同点の九回にエドワーズがつかまり、今季４度目のサヨナラ負けで連勝は６でストップ。

　虎の韋駄天（いだてん）は、秋晴れの空の下で華麗に駆けた。相手バッテリーが警戒しても問題ない。かいくぐり、悠々と二塁に到達した近本。審判の判定を待つまでもなかった。一日で２盗塁を加算し、球団初のルーキーイヤーから２年連続となる３０盗塁到達。昨シーズンの盗塁王が貫禄の快足を見せつけた。

　「走れる機会があればしっかり走っていこうと思っていたので。点につながるような盗塁をこれからもやっていきたいと思います」

　自慢の足で反撃の流れを作った。２点を追う七回だ。１死一、三塁の場面で打席を迎えると、右前適時打で１点差とした。続く糸原の初球。迷わず、二塁へ盗塁を敢行する。その後、主将が放った左中間を破る２点適時打で一時勝ち越しとなる本塁を駆け抜けた。

　今シーズンも残りわずかとなっている中、量産している盗塁数。初回にも右前打で出塁すると、二盗を決めた。ここ５試合で６盗塁。「そういうのはあまり気にしない」と、球団初の偉業も通過点にすぎない。

　固め打ちで打率も上昇させた。前日は５打数無安打。「ゾーンを上げてしっかり打てるタイミングの時は振っていこうと思っていた。打ちにいくボールが間違っていなかったのかなと思います」。一夜で修正し、この日は５打数４安打１打点。今季１３度目の猛打賞をマークして打率・２９８と上昇させ、安打数も１３４本でリーグ３位に浮上した。

　矢野監督は「３割の目標もあるしね。盗塁も目標にやっているんでね。そういうのもどんどん狙っていけばいいかなと思う」と盗塁のタイトルだけでなく、３割到達にも期待を寄せる。

　自身初の３割打者、最多安打のタイトル、そして２年連続の盗塁王へ。「走れる時にしっかり走ることだけだと思う」。盗塁数２位の巨人・増田大とは７差。虎の切り込み隊長である近本の独走は、どこまでも続く。