阪神・藤川、東京ドームに別れ 笑顔でファンに挨拶 マウンドで記念撮影も
「巨人2-4阪神」(25日、東京ドーム)
今季限りで現役引退を表明している阪神の藤川球児投手(40)は、今季の東京ドーム最終カードを登板機会なく終えた。
初戦、2戦目とベンチ入りしながら出番なく、迎えた第3戦。先発の秋山拓巳投手が、完璧な投球内容を見せた。最後まで1人で投げ抜いたことでこの日も登板機会はなく、マウンドから最後の雄姿を見せることはできなかった。
それでも、試合後にはファンの大歓声に応えて、左翼スタンドに向かった。ドーム内に藤川の登場曲 LINDBERGの「every little thing every precious thing」が流れる中、笑顔で別れを告げると、そのまま右翼スタンドにも手を振る。三塁側のスタンドに手を振りながら、ホームベース付近からグラウンドに向けて一礼した。最後にマウンドに立ち、記念撮影。長く死闘を繰り広げた球場に別れを告げた。
巨人戦は通算でカード別最多の143試合に登板。ここまで6勝5敗、25ホールド、46セーブ、防御率2・10を残している。昨季限りで引退した阿部慎之助(現巨人2軍監督)とは最多58度の対戦。打率・170、0本塁打、0打点に抑えた。清原和博、高橋由伸、坂本勇人。伝統の一戦に情熱を燃やしてきた。
振り返れば、東京ドームでは名場面も多い。2005年4月21日の対戦では、8点リードの七回2死満塁で登板した。NPB通算500号に王手をかけていた清原との勝負では、フォークで空振り三振。清原から「チン×コついとんのか」と“口撃”された。
また、2007年の8月30日・広島戦(甲子園)から9月8日の巨人戦まで、9連投してチームの首位浮上をけん引。最終的に翌9日・同戦までの10連投となり怒濤(どとう)の10連勝に導いた。
さらに2010年4月13日で、球団歴代トップとなる通算131セーブを記録。火の球と呼ばれたストレートで、球史に残る名勝負を繰り広げてきた。
黄色で埋まった左翼スタンドだけでなく、球場全体から温かい拍手が注がれた。粉骨砕身の精神で、打倒・巨人に生きたレジェンドが、思い出の地に別れを告げた。