阪神・西勇、巨人戦3連勝 1500投球回飾った!強力打線手玉に取り8勝目

 「阪神4-1巨人」(2日、甲子園球場)

 今季最多1万5109人が詰め掛けた本拠地に阪神・西勇輝投手(29)が燃えた。しかも相手は宿敵・巨人。さらに燃えて、8回1失点の好投で8勝目。首位の背中は見えないほど遠いが、右腕の意地はスタンドにも届いた。巨人戦は今季負けなしの4戦3勝。これがエースだ。

 黄色く染まるスタンドが、カクテル光線で鮮やかに揺れる。ヒーローインタビューを受けながら、西勇は感慨深げに客席を見上げた。今季最多1万5109人が見守った一戦。8回5安打1失点の熱投で8勝目を手にした。巨人戦は今季4戦3勝。無敗のGキラー誕生だ。

 「こんなに人が入ってくれて、ここまで心強くなるとは思わなかった。本当にありがとうございました」

 マウンドから打球方向を叫び、抑える度に右拳を握る。「サード!」、「ショート!!」。全身で勝利への執念を体現し、守る野手の心をもり立てた。復帰した梅野と2試合ぶりのコンビ。初回こそ1死一、二塁のピンチを背負うが、岡本を宝刀チェンジアップで三ゴロ併殺。波に乗った。

 「リュウ(梅野)のサイン通り、構えた所に投げることができた」と内外に投げ分ける制球力で圧倒。8奪三振と的を絞らせなかった。七回まで無失点。球団では85年・ゲイル以来、35年ぶりのG戦連続完封も見えた中で八回、ウィーラーにソロ本塁打を浴びた。「甘くなかった」と苦笑いしたが、ほぼ完璧な投球内容だった。

 9月4日(甲子園)。通算11度目の挑戦で、初めて巨人から勝利をつかんだ。同月1日には、藤川が引退会見。打倒巨人に生きたレジェンドの姿に「伝統の一戦」の重みを知った。今季は負けなしの4戦3勝。村山実、江夏豊、小林繁や藤川球児らが紡いできた系譜。打倒巨人に燃えた男たちの投球だ。

 「球児さんも言っていましたが、絶対に勝つんだという気持ちが大事。最後に球児さんが投げる展開に持っていきたい。チームみんなが思っています」

 残り32試合で11・5差。巨人の背中はまだ見えないが、鼓舞し続けるのはエースの矜恃(きょうじ)だ。「責任感ですね。なかったわけじゃないですけど、一層意識してマウンドに立っている。一球一球の重みがある」。猛虎の意地、伝統の系譜。チームを背負う覚悟が成長を支える。

 通算1500投球回に到達。史上179人目の記録に「最低限クリアしたかった数字」と胸を張った。まだ通過点。コロナショックが続くチームの総意を代弁する。「そこまで苦しいと感じていない。本当に最後の最後まで分からないのでね」。前だけを向いて戦う。まだ終わらない。エースが終わらせない。

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