岡田彰布氏 負けられない巨人戦は「ベンチの勝負がカギ」

 デイリースポーツ評論家の岡田彰布氏が、独自の視点で球界の話題を深掘りする「岡田辞典」-。今回は「ベンチの勝負」をテーマに、15日からの阪神-巨人3連戦(東京ドーム)のポイントを指摘した。岡田氏が指揮を執った2007年を最後に、巨人戦のシーズン勝ち越しがない阪神。一つでも負ければ巨人に優勝マジックが点灯する中、両監督の采配を焦点に挙げた。

  ◇  ◇

 きょうから巨人戦やな。一つでも負ければ巨人に優勝マジックが点灯する状況やから、阪神としては3つ勝つしかないんよな。今年はCSも無いシーズンやから。この3連戦は2勝1敗で勝ち越しではなく、3連勝して五分と言える。

 ここまで巨人との戦いを見てて思うのは、ベンチ同士が勝負せなあかんということ。7日に甲子園で行われた巨人戦で、放送の解説でも言ったんやけど、原監督は七回先頭の糸原の打席から左腕の高梨を投入した。そして続く右の陽川まで続投させた。それは何でかと言ったら、ベンチにいる糸井、福留を出させないためと考えられた。このポイントでカードを切らせなければ、八、九回も起用するタイミングを失う状況だった。

 “相手に手を打たせない采配”は、俺が阪神の監督をやっていた時も、原監督はよくやってきていた。特別にすごいというわけではないんだけど、逆にこっちは代打の代打を使ってみたり、ワンポイントを出したり-。相手の腹の内を読んで、向こうの想定を超えるような一手を打たないと、思い通りにゲームを進めさせてしまうんよ。

 特に今季を見ていると、原監督は余裕を持って采配しているように見える。プロ野球はグラウンドに出ている選手が結果を導き出すという大原則がある一方で、ベンチの戦い方も勝敗を左右する。代打や継投などの起用は、グラウンド上の選手ではできないことやし、投手交代や代打を告げるタイミングにしても、相手のベンチをうかがいながら、考えてやらんとあかん。

 今回の3連戦は戦力を総動員して、つぎ込めるところはすべてつぎ込まないといけない。そして選手だけでなく、「ベンチの勝負」というのもカギを握ると思うよ。

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