【藤川球児一問一答・2】苦しかったから克服できたことに…

 阪神・藤川球児投手(40)が1日、西宮市内で引退発表会見に臨み、入団時に目標に掲げた3度目の優勝を約束した。一問一答は以下の通り。

  ◇  ◇

 -ファンに向けて。

 「タイガースファンの皆さん、この13連戦でね、タイガースがどう乗り切るか。その間にジャイアンツとの4連戦がある。僕は今2軍…いや、3軍か。いますけど、まずは今日からヤクルト3連戦がありますけど、気合入れ直してきますから。みんな頑張っていますけどね。頑張っているけど、巨人を倒すにはそれだけじゃ足りない。自分も刺激を入れてくるので。1軍で戦っている選手というのは、本当に大変なので。叱咤(しった)激励ももちろん、大事。でも、戦っている4時間の間は、尊敬してあげてほしいです」

 (質疑応答に移る)

 -これまでの長い野球人生、一番印象に残っているシーンは。

 「一番か。あんまり覚えてないかもしれないです。前へ、前へが自分のね。今より幸せになりたい。今日より明日が幸せになりたいというのが、自分の人生のモットーになっているので。明日、もっといい日になるかもしれない。あさっても。もしかしたら(肘が)痛くなくなっているかもしれない。そこまで考えているから。思い出は…あるけど、もっといい思い出が出てくるかもしれないので、やめておきましょう」

 -阪神タイガースの存在は。

 「どうなんでしょうね。甲子園球場が母親なら、阪神タイガースは僕にとって父親ですね。それは、その通りだと思います。一回、出ていきましたけどね。そんなもんでしょう、子どもって」

 -引退を決めた要因の一つとして直球が自分のイメージと違ったか。

 「昨年から実はあったんですけどね、コントロールがうまくいかないと。それは僕の中では確実に何かあると。体の状態、戦うことの方が優先なので、僕なんか潰(つぶ)れてもいいんですよ。タイガースに貢献できて、監督に貢献できて、チームが勝てるんですから。止まることなく戦ってきたんですけど、コントロールが悪くなったのは自分の体の不調と体を扱えなくなった、いわゆる寿命じゃないですか」

 -直球の質か。

 「いや、コントロールできなくなったんですよ。だけど、やってやりますからね。もうちょっと、もうちょっと、もしかしたら良くなるかもしれない。その可能性があるのは楽しいですから。まだやってる限りは可能性がありますから、自分自身との勝負ですから。それは」

 -会見中、感極まった場面もあったが。

 「どんな時でしたっけ?自分でも後から見たら不思議なんですけど。どんな時?」

 -22年間のプロ野球生活を振り返る時とかで…。

 「苦しいから、苦しかったから、苦しかったことを克服できたことに感傷に浸りそうになった。でも、40歳でそんなの迎えても仕方がないと思うんですよね。これからもっと40年先、野球選手が終わった後、どんな生活をしていくんだっていうのが、僕の中では今より幸せになりたいので、感傷に浸ってる場合じゃないというのが、後で振り返ってあるかもしれない」

 -今までは「自分でチームを勝たせる」というのが強かった。「誰かがやってくれる」という言葉が増えた。心境の変化は。

 「誰かがやってくれる、誰でもいい、戦える人間を増やす、戦える…。これは本当に三国志とかから自分が学んだことで、とにかく自分の今の力量で行くよりもたくさんを束ねてね。JFKじゃないですけど、3本の矢でいましたから。何でもかんでも自分でしようとせずに、それを若くて勢いのある選手をつかまえたりして。一人でも強い選手、コーチの仕事でもあると思うんですけど、選手として自分が感じるところと、監督に、タイガースに、貢献できるっていうのもあると思うし。勝てればいいので。なので、一人でも多く、ファイターを作って、立ち向かっていく。後輩を、後輩っていうか、能力のある選手ですから、その選手たちに何とかそうなってもらって、ファンの人を喜ばせてほしいと。そういう意味で自分だけではないというのはそこです。だから自分がいなくてもいいと思うんですね」

 -松坂世代はどんな存在か。

 「引退するって自分で今日発表できるようになって、誰が一番残るかっていったら、松坂かな、ハハッ(笑)。こないだ連絡来ました。松坂は陰で本当に頑張ってるんですよ。自分に勝てるかどうか。彼はその強さがあるんです。だから彼も現役でやってるし、(ソフトバンクの)和田も現役で肩状態が悪くても復活してやってる。自分に勝とうとしている、自分自身に。僕はそういう選手たちが実は一番夢を与えていると思いますけどね」

 -同世代から感じるものは大きいか。

 「それは大きいです。先輩ともそうやってやってきましたからね、金本さんもそうやし、シモさん(下柳)もそうやしね。たくさんの人がそうやって戦ってきましたから、桧山さんも。みんな頑張ってきた人たちがいて、やっぱりふとよぎる。それを経験として、その経験があったからたぶん間違えない。だから、ありがとうございますと言えるのは、その年齢まで現役を続けてくれたこと。32、33(歳)で辞めたら分かれへんもん、その人たちが。たぶんそういうことやと思いますよ、やっぱり。おこがましいけど、僕イチローさん大好きやし。生き方をずっと勉強してるし。尊敬してるんですけど、たくさんの人から少しずつそういうものをもらっていますけど、僕が思うのは、そこまでやって、年齢、キャリアがある人でしか語れないと思うんですよ。32、33(歳)で辞めてる人には分からない世界があります。そこまでの選手がダメなわけではないですよ。そこから先が本質です、だと思います」

 -松坂からはどんな言葉だったか。

 「ハッハッハ、僕が言うことじゃないでしょ。僕は自分自身に勝ったんで。なので、絶対にへこたれるなと。もともとそれが得意な選手やから。自分自身に勝ったという時に、本当にうれしいのは、僕が18番ホールの最後ぐらいですかね、そこまで来た時ですか。松坂は最後上がってくるはずです。それを待つ。みんなで待ちたいですね。あと、和田もいます。他にも久保(楽天)がいます。渡辺(楽天)もいます。みんなそこで待ってると思うので。僕は待ちます。それだけの選手です、本当に」

 -「松坂世代」と呼ばれることは誇りになるか。

 「誇りが多すぎると、どれが誇りか分からんようになるけど(笑)松坂と同世代とラウンドが終わって上がってきた時に、話をして答えが出ていくんじゃないですか。まだだと思いますよ。だから、戦ってる最中だから、やっぱりケガって苦しいですよ、だから何とか精いっぱい応援してあげてほしい。それが彼のファンです」

 (続けて)

 「あっ、訂正しとくわ。あいつは求めてないと思うよ。松坂は求めてないと思うよ。松坂は僕と一緒で叱咤激励のヤジが大好きだから(笑)」

 -うれしかったこと、苦しかったこと、どっちが多いか。

 「この前、長嶋さんがテレビに出ていたんですけど、100勝99敗みたいなことを言ってたんですよね。だいたい人生って。だから『しょせんそんなもんなんだなあ』と思うので、別に誰かと比べることがないから。苦しい、楽しい、これ以上あるのか無いのかもこれから先の人生分からないじゃないですか。振り返ると、どうですかね。苦しかったけど、僕、自分に勝ちましたからね。だから楽しかったでいいんじゃないですか。たくさんの人に藤川球児っていう人を知ってもらえたというのは生きてる中で、こんな最高なことはないと思うんですよ。僕は幸せをたくさん、ファンの方、後輩、先輩に頂いたので。これから先も世の中で苦しいことがあるじゃないですか。それが少しでもストレスが発散できるような野球場やったり、そういうことでいいんですよ。精いっぱいそういうことを受け入れて、戦ってきたつもりなので、もっと誰かが苦しい時に、人に寄り添えるような、そういう生き方をしたいなとは思ってるんで。苦しいこと楽しいこと、全部、人生勉強で(笑)。おもしろいですよ、はい」

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