阪神・小幡 プロ初安打!球団10代野手では23年ぶり 激走ヘッスラで生還
「阪神6-3中日」(27日、甲子園球場)
阪神・小幡はバットを振り抜くと、無我夢中で走った。落ちてくれ-。白球が中前の芝生の上で弾むとスタンドから大歓声と拍手が沸き起こる。プロ初安打を放ち、一塁ベース上に立つと自然と口元が緩んだ。
「1本打てたときはすごくうれしかった」
五回1死走者なしで迎えた第2打席。追い込まれながらも、柳が投じた外角のシンカーに食らいついた。打球は中堅・大島の前にポトリ。プロ7打席目で待望の「H」ランプをともした。
目標だったプロ野球選手。延岡学園入学時に行われた野球部の歓迎会では、同級生が甲子園出場やレギュラー獲得を誓う中で、小幡は「プロ野球選手を目指します」と宣言した。見事に有言実行を果たしただけでなく、球団の10代野手では1997年・浜中治(高卒新人)以来の安打だ。
さらに足でも1死二塁から一気に本塁へ突入。「本能的に頭からいってしまった」と勢いよくヘッドスライディングでホームへ飛び込んだ。中日ベンチがリクエストを求めるも、判定は覆らず、間一髪のタイミングで貴重な追加点を奪った。
守備でも四回、ビシエドの強烈なライナーをジャンピングキャッチする好守を披露。八回にマルチ安打となる中前打を放ち、ベンチが沸き上がる中、小幡は一塁塁上でぴくりとも表情を動かさない。
昨年、同い年で同じ内野手の中日・根尾、広島・小園が1年目から1軍で試合に出場。2軍で研さんを積む小幡にとって、ライバル心をかき立てられた存在だった。「ここからどんどん追い越して。根尾世代が変わるように頑張ります」と球団では95年の平尾以来となるマルチ安打では、まだまだ満足はしていない。
取材中には矢野監督が乱入。「みんなに連絡しとけよ。父ちゃん、母ちゃん、監督、いろんな人に『ありがとうございました』って。『初安打、打ちました』って」と伝えた。
ドラフト直後の会見で人生初のタテジマに「似合うか分かりませんが、チームの顔になれるように頑張ります」と語っていた小幡。ここから高い目標に一歩ずつ近づいていく。