宮崎恒彰氏が振り返る 03年V“陰の立役者” 虎を変えたキーワード「人間が資産」

 オーナー時代の宮崎恒彰氏
2枚

 2006年から2年間、阪神の第8代オーナーを務めた宮崎恒彰氏(77)が、デイリースポーツ紙面で激動の日々を振り返ります。02年に取締役としてタイガースに入団。黄金時代の構築に尽力し、村上ファンド問題、30億円問題など、猛虎の危機に立ち会ってきた。第1回は03年優勝の陰の立役者と言われたゆえん、そして星野監督と共に変革の道を進んだ日々がひもとかれる。

  ◇  ◇

 2003年からのタイガース黄金期を語る上で、欠かせない人物がいる。時には黒子として、時には前面に出てタイガースを守り続けた宮崎恒彰・第8代オーナー。阪神コンテンツリンク社長時代の02年7月に球団の取締役を兼務し、ここから改革への歯車が動き出す。

 当時、久万俊二郎オーナーの“懐刀”として、チームの指揮を執っていた星野仙一監督とのパイプ役を担った。後に両輪となって動き出す星野監督と緊密にコミュニケーションを取る中で、猛虎を弱者から強者へと変えたあるキーワードがあったという。

 それは「人間が資産」-。

 「久万さんは財務関係の畑を歩んできて、法律に詳しい人。それで言ったことがあるんやけど、タイガース、プロ野球は興行ですと。片や鉄道会社は鉄道と不動産が主流で年間収入が大きく変動しない。そこで利益を得て株主の方に配当しようと思うと、経費を抑えないといけない。費用をどうコントロールするかがテーマやったんですね」

 当時の企業風土から、補強にかかる莫大(ばくだい)な経費を捻出するのは簡単ではなかった。他球団は広告宣伝費として親会社が数十億円の赤字を補てんしていたほど。このシステムが後に04年の球界再編問題へつながっていくが、少ない投資で少ない利益を上げる本社の考え方に風穴を開けたのが宮崎氏と星野監督だった。

 「久万さんにね、鉄道経営とプロ野球を一緒にしたらあきまへんと。タイガースを強くして、お客さんにいっぱい入ってもらわんとあきまへん。今の収益的にはマイナービジネスかもしれませんが、タイガースブランドの価値はもっとすごいですよと。示し合わせたわけではないけど、仙さんも一緒のことを久万さんに言ってたんですわ」

 宮崎氏が北海道に出向いた際、「阪神タイガースは知っているが阪神電車は知らない」と言われたという。そのエピソードを持ち出しながら、宮崎氏と星野監督はこう久万オーナーに訴えた。

 「甲子園は本社の持ち物やし、球団にめぼしい固定資産はない。ブランド力を生かすため『球団にある資産は人間ですよ』と。まず選手やと。監督以下のコーチ、選手、フロント、裏方。人間が商売やのに、いい人間を集めてこないとチームは強くなりません。投資しないとあきまへん」

 そう直訴したからといって、簡単に補強資金が下りるわけではない。当然、“費用対効果”を求められるのが企業。宮崎氏はチームを強くすることで得られる利益を想定し、掛け合った。

 「お客さんが入れば収益は上がる。グッズやホテルだけでなく、本社の事業にも間違いなくつながる。『それを証明してみせますわ!』と言ってね。久万さんと手塚さん(当時電鉄本社社長)が話を聞いてくれる人やったから。それが翌年、2003年の優勝につながったんですわ」

 人間が資産や-。それを強く推し進めたのが、グラウンドの責任者であり編成面でもその手腕を振るっていた星野監督だった。1985年以降、遠ざかっていた優勝の2文字。そこに向け、闘将とフロントマンの情熱が動き出す。宮崎氏は03年の優勝時、本社&球団内でこう評されていた。“陰の立役者”と-。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス