阪神・サンズ2打席連発 東浜から文句なし来日1号&2号

 「オープン戦、ソフトバンク4-5阪神」(29日、福岡ペイペイドーム)

 大歓声も拍手もないスタンドに「ズドン」と豪快な音が響き渡った。結果に驚くことはない。両手に残った感触が完璧だからこそ、来日1号に表情ひとつ変えず、ダイヤモンドを一周した阪神・サンズ。昨季の韓国リーグ打点王が本領を発揮した。

 開幕投手候補の東浜から文句なしのアーチをかけた。先頭で迎えた二回。2ボール1ストライクからの4球目、真ん中高めに浮いた135キロのスライダーを見逃さなかった。フルスイングで捉えた打球は、高々と放物線を描いて左中間最深部のスタンドに飛び込んだ。

 実戦5試合目で待望の一発。「できればホームランはシーズンまで取っておきたかったけどね。オープン戦とはいえ、打ててよかったよ」と納得の一打を振り返った。

 これだけでは終わらない。すぐさま2発目を披露した。四回1死走者なし。カーブ2球で追い込まれたが、問題はなかった。「カーブを狙っていたというのはない。来た球に反応しただけ」と、3球目、高めに浮いた同球を強振。弾丸ライナーで左翼ホームランテラスに運んだ。

 対応能力だけでなく、パワーも示したおかわり弾。新外国人の2打席連発は2001年のクルーズ以来、19年ぶりとなった。

 コンパクトなスイングでミート中心だったキャンプ中とは明らかに違う姿を見せた助っ人。井上打撃コーチは「本人も安心しているだろうし、俺も安心している。いいものを見せてくれた」と改めて頼もしさを感じ取った。

 生真面目な性格だからこそ、準備にも抜かりない。試合前練習には、一足早くベンチに現れてスタジアムの雰囲気を確認。また、無観客に対しても「人がいないほうが感染する確率も少ないし、予防することはしっかりとして。できるだけ早く治まることを願っている」と心配した。大観衆の中でも、大砲のバットは火を吹くはずだ。

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