横田「野球の神様が押してくれた」奇跡のバックホーム 涙の引退セレモニー

 セレモニーを終えて、ファンの声援に手を振って応える横田
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 「ウエスタン、阪神4-2ソフトバンク」(26日、鳴尾浜球場)

 阪神・横田慎太郎外野手(24)が26日、ウエスタン・ソフトバンク戦で引退試合に臨んだ。八回2死二塁から中堅で出場。レーザービームを披露し、本塁で走者を刺した。“奇跡のバックホーム”で球場全体を沸かせた。試合後のセレモニーでは2016年に開幕スタメンをつかんだ背番号「24」のユニホームで登場。6年間の感謝を繰り返し言葉にし、慣れ親しんだ鳴尾浜球場で別れを告げた。

 颯爽(さっそう)と背番号「124」が中堅へ駆け出した。1点リードの八回2死二塁。ここでコールがかかった。「センター・横田」。2016年9月25日の同戦(筑後)以来、1096日ぶりの公式戦出場。引退試合の光景を感慨深げに回想した。

 「本当にセンターから見る景色はきれいでした。これまで野球をやってきて良かったと思いました。諦めずにやってきて良かった」

 ドラマチックな展開が待っていた。同点の2死二塁から塚田の打球は中前へ。横田が猛チャージをかけ、渾身(こんしん)のバックホーム。二走・水谷をノーバウンド返球で刺し、ガッツポーズを披露。ナインと喜びを分かち合った。

 野球人生の「ベストプレー」と自画自賛した横田。バウンドする打球が二重に見えたが、自然と前へ足が出ていたと明かす。「打球が全然きれいに見えなくて、いつもだったら一歩下がっているが、今日に限っては前に出られた。野球の神様が押してくれたということかな」。興奮冷めやらぬ口調で語った。

 引退セレモニーでは、16年開幕戦のスタメンオーダーが電光掲示板に表示された。2番打者は「中堅・横田」。当時の背番号「24」のユニホームを着て、再びセンターの守備位置へ駆け出した。「ロッカーでも着る際に、涙が出ちゃって時間もかかった」と吐露。両親からの花束贈呈は顔も見られないくらい涙があふれた。

 「両親が一番、助けてもらったし、自分の一番弱い姿を知っている。守備だけだが、グラウンドで見せられて良かった。ユニホームが着られて幸せだなと思って泣いちゃいました」。17年春季キャンプ中に脳腫瘍と診断されたが、全力で支え続けてくれた両親への感謝は尽きなかった。

 ファンの“声”がなくては、試合出場にはたどり着けなかった。「僕が苦しんだり、悩んだりしている時も一歩前に出ない時も、ファンの方の声援で前に進めた。今まで感動をありがとうと言われました」と振り返る。

 苦楽を共にしてきたナインとの別れの時が来た。ゆっくりとマウンドに1軍、2軍の選手、スタッフが集まる。登場曲、ゆずの「栄光の架橋」が流れる中、横田は5度宙を舞った。思い描いた野球人生とは違ったかもしれない。ただ、グラウンドを去る表情はどこか晴れやかだった。誰からも愛された横田が、次のステージに歩みを進める。

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