矢野監督 逆転CSへ鳥谷に期待大「今持ってる力を」7、8月打率・429
「阪神(雨天中止)中日」(27日、甲子園球場)
甲子園での中日戦が雨天中止となった27日、阪神の矢野燿大監督(50)が鳥谷敬内野手(38)について「トリ自身の今持ってる力を出してくれるというのがチームのためにもなる」と、CS進出を目指す上で欠かせない存在であると強調した。25日のヤクルト戦後に発した鳥谷の発言が波紋を呼んでいる中、指揮官が叱咤(しった)とともに期待感を示した形だ。
雨天中止決定後の甲子園室内。報道陣が発した“鳥谷”のワードに反応した矢野監督の口調が熱を帯びた。
「ムードがよくなる一つの材料として、トリの頑張りというのはもちろんある。頑張ってもらわないと困る」
残り24試合。CS進出へ向けて一試合一試合の重要度が増していく。そんな状況下で、代打として奮闘するベテランの力が欠かせないことを強調した。
25日のヤクルト戦後に鳥谷が発した「最後の打席になるかもしれないから…」という意味深発言。翌朝には「深い意味はないよ」と本人が他意はなかったことを明かしたものの、チーム編成トップの谷本球団本部長が9月中にも鳥谷との直接会談を行うことを明言するなど、周囲に大きな波紋が広がった。
そんな中で指揮官は「ファンの人も活躍を望んでいると思うし、トリ自身もその意識がありながら、練習だっていつ見ても抜くことももちろんない。自分の今やれることを常にやってくれている」と戦力としてはもちろん、その姿勢や及ぼす影響力の大きさが、チームの力になることを期待する。
今季は55試合の出場で76打数16安打の打率・211だが、7、8月に限れば21打数9安打の打率・429。これまでと同じく、夏を迎えて一気に調子を上げてきた。
一方でいまだに打点は0。「練習を見ていてもずっといい形で振れているから。そういう場面というのを(他の)選手が作ってくれて、そういうところで行ってトリが結果を出してくれるというのが一番いい」。『代打・鳥谷』のコールに虎党が沸き、球場の空気は一変する。その上で適時打が飛び出せば-チームに有形無形の力が働くことは間違いない。
本人の意図は別にして、神宮での発言は鳥谷の今季に懸ける不退転の覚悟が改めて浮き彫りになった形だ。「トリ自身の今持ってる力を出してくれるというのが、チームのためになる」。生え抜きスターである背番号1の活躍が、逆転CS進出への大きな推進力となる。