決めたのは糸井ダ~ 絶叫!連勝!V撃&激走ホーム「本当に勝ちたい、その一心」

 「阪神3-2ヤクルト」(22日、甲子園球場)

 阪神が連勝。勝負を決めたのはベテランの一打&激走だ。1-1で迎えた七回、2死三塁から糸井嘉男外野手(37)が中前適時打を放ち、勝ち越しに成功した。続く大山の左前打に敵失が絡むと、糸井は一塁から一気にホームイン。貴重な追加点をもぎ取り、接戦を制した。

 ライトの定位置に駆け出しながら、黄色で埋まるアルプスを眺めた。少年少女が声をからして名を叫ぶ。「糸井!糸井!!」。ヒーローは控えめに帽子を取り、左手を挙げた。FA移籍3年、優勝を渇望する16年目。あの日、アルプス席から夢を抱いた少年が、本拠地で決勝打を放った。

 七回だった。一丸で再三のピンチをしのぎ、同点で迎えた“ラッキー7”。2死三塁で打順が巡った。14日の巨人戦からモデルチェンジした黄色の革手袋に、黄色のテーピングを巻いて打席に。1ボールから2球目、ヤクルト・ハフのカットボールをフルスイングした。鋭い打球が中前で弾んだ。

 「糸井選手、頼むぞ-という気持ちで打席に入りました。本当に勝ちたい、その一心でした!!」。15日の同戦以来5試合ぶりの打点、4試合ぶりの安打。一塁からベンチに向けておどけてみせると、続く大山が放った左中間の打球で全力疾走。バレンティンが処理にもたつく間に、一気にホームに滑り込んだ。

 「昔を思い出してね。あそこは俺の原点。だからアルプスの階段を走ってるんよ」

 開幕前の練習日。球児に聖地を明け渡す前に、糸井は右翼アルプス席に立った。階段を駆け上がり、グラウンドを見下ろす。30年ほど前。小学生のころ父に連れられ、初めて聖地に足を踏み入れた。胸が躍った。1番・真弓明信の本塁打を見た。カクテル光線を浴びながら放物線を描く白球。夢は憧れに、憧れは目標に変わった。

 誰もいない甲子園。目を閉じれば、幼少期の思い出が鮮明に浮かぶ。迷い、悩んだ時に立ち返る場所。2003年もそうだった。自由枠で日本ハムに入団が決まった後も、甲子園球場で阪神戦を見た。金本知憲(前監督)の弾丸ライナーに衝撃を覚えた記憶が残る。アルプス席から見た2本の本塁打が原点だ。

 「ファンの方の声援に応えたくて、勝ちにつながる一打が打ちたくて。そう思っています。打ててよかった」

 あの日、真弓の放物線に希望を抱いたように、どれほどの子供が胸を躍らせただろう。金本の弾丸ライナーに憧れたように、どれほどのファンが魅せられただろうか。「大きな声援また、お願いします」。今季初めて立った甲子園のお立ち台。アルプス席で夢を見た少年が声を張る。優勝だけを誓い、信じる1年。物語は続いていく。

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