お待たせ1カ月ぶり糸井弾!球宴ファン投票“御礼”8号「幸せでした!」

 「阪神5-4ヤクルト」(2日、甲子園球場)

 打った瞬間、阪神・糸井嘉男外野手(35)はバットを放り投げた。笑みが浮かぶ。ライナー性の打球は、ギリギリで右翼フェンスを越えたが、確信を持って振り切った8号ソロ。ファン投票での球宴出場決定後、初の“御礼弾”に「声援が、最後に一押ししてくれた」と感謝で振り返った。

 七回だ。リードは1点。中盤に動いた試合展開は均衡が続いていた。1死走者なしで打席に立つと1-1から3球目。高めに浮いた近藤のカーブを狙った。5月30日のロッテ戦以来、約1カ月ぶりの一発。「幸せでした!!(笑)」。ルーキー大山の言葉をマネて、スタンドの笑いを誘った。勝利に飢えていた。

 「昨日より今日の方が、大事な試合やと思っていたので。勝ててよかったです!!」

 前日1日に連敗を8で止めた。この間、糸井は24打数5安打(打率・208)。6月9日のソフトバンク戦で左太もも裏を痛めた。病院では「軽い筋挫傷」の診断。それでも翌10日から出場を志願した。同日は福岡市内の病院で治療を受けて、患部をテーピングでグルグル巻きに。結果的に出場はしなかったが、試合終了直前まで控室で出番を待った。

 決して万全な状態ではないが、試合に出続けることにこだわる。「監督なら休みますか?」。出場の可否を問われると、鉄人と呼ばれた男の姿を思い出す。「優勝するために、力になってほしい」。FA交渉では、指揮官からの言葉に心を奪われた。チームを勝たせるために移籍を決断。使命感で打席に立つ。

 3番打者の復調に金本監督も「あの本塁打は大きかった。これをきっかけにして、4月の調子に戻してほしい」と願う。初回の左前打と合わせ、2戦連続マルチ安打。糸井がつぶやいた。「勝ってよかったです」。もう笑みはない。重圧と戦いながらバットを振る。チームを勝たせるために、グラウンドに立ち続ける。

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