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「ずっと、お父さん」には、なれない…福原入閣へ

 泣きながら福原と別れの握手をする藤浪
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 「阪神6-0巨人」(1日、甲子園球場)

 縁あって、福原忍のご子息が所属する少年野球チームでコーチを務めている。僕なんてお手伝いの域を出ないのだが、この日、父親譲りのフォームで甲子園のマウンドに立った福原ジュニアの勇姿はとても誇らしかった。

 引退会見の2日後、福原と野球チームのグラウンドで顔を合わせた。お父さんの顔だね。そう声を掛けると、「きょうからはずっとお父さんですよ」と、少しふっくらした頬を緩めていた。

 長くこの世界にいるが、福原の人間性を揶揄(やゆ)する声を聞いたことがない。福留、安藤、能見、藤浪…引退セレモニーの間、彼らはひと目をはばからず涙していた。「福原さんのために、きょうは勝ちたい」。試合前、口々にそう語ったチームメートたち。少し語弊があるかもしれないが、今年最もチームが一丸になれたゲーム…そう感じさせる143試合目だった。

 敬意を持ち、大切な人のために戦う。それこそ精神論と言われるかもしれないが、実はこれ、一流のプロ集団であれ、勝つために大切な要素だと感じる。

 金本知憲はその人間性を知るから、福原を投手キャプテンに指名した。「あいつしかいないと思っていたよ。すごく優しい男。でも意見をはっきり言える人間でもあるから」。金本にとって福原は広陵高の後輩であり、互いにかけがえのない存在。そう感じさせるエピソードがある。

 昨オフ、甲子園で自主トレを行っていた福原はクラブハウスの駐車場で、監督に就任したばかりの金本とばったり出くわした。「監督の車の窓がウィーンと開いて、『ま、そういうことやから頼むわ』って…。そのまま帰っていったんですよ。えっ?何を?みたいな(笑)」。有無を言わせぬ、10秒弱の任命式だったことを当時、福原は爆笑しながら教えてくれた。

 投手キャプテンが早々に出場選手登録を抹消され、ブルペンの柱を欠いて戦った超変革の1年目。金本が焼酎グラスを傾けながら「福原がな…」と、その穴の大きさを嘆いていた夜もあった。若手が台頭したシーズンだったが、福原の代役に苦心したことが低迷を招いた決定的な要因とも言える。

 今、ここで言いたいこと。それは実績や数字でははかれない福原のような人間力が今の阪神にいかに必要かということ。選手たちに聞けば、その背中のあるなしで、チーム全体の安心感が違ったという。「きょうからずっと、お父さん」-福原はそう話していたが、その希少価値を知る阪神球団が彼を放っておくはずはない。=敬称略=(阪神担当キャップ・吉田 風)

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