西岡が勝利呼ぶ先制打&“奇襲”重盗

 「中日2-3阪神」(2日、ナゴヤドーム)

 一番欲しかった先制点は、阪神・西岡剛内野手のバットから生まれた。二回無死二塁。小熊のシュートを強引に引っ張った。打球は右翼手の前で弾み、二走・福留が生還。阪神の元気印は、沸き上がる三塁ベンチに向かって何度も手をたたいた。

 「勝ちたい一心です」

 7番・北條の死球で1死一、二塁。続く岡崎の4球目だった。ダブルスチールを敢行し、西岡は三塁ベースへ猛然とスライディング。「常に前の塁は狙っている」と、相手守備陣の意表を突く奇襲作戦が奏功。8球目、小熊の暴投で背番号7が2点目のホームを踏んだ。

 6月30日・DeNA戦は、久保康の前に散発3安打完封。7月1日・中日戦は、ジョーダンに7回2/3を2安打に抑え込まれていた。今季ワーストの借金8で迎えた一戦。金本監督は「そういうのをできるのが、(西岡)剛だからね」と好走塁を褒めちぎった。

 6月1日。腰痛を訴えた上本に代わり、1軍への緊急昇格が決まった。4月に痛めた左太もも裏は5月中旬に再発。昇格の連絡を受けた当日は、ウエスタン・広島戦でやっと実戦復帰したところだった。万全とはいえない状態に不安は募る。奮い立たせてくれたのは掛布2軍監督だった。

 「剛、もういけるだろう。お前は技術じゃなくて気持ちで打てる選手なんだから。(仙台へ)行ってこい!」

 6月2日・楽天戦(コボスタ宮城)では、「2番・指名打者」で先発出場。昇格即安打に加え、持ち前の積極走塁で勝利を呼び込んだ。「僕自身、焦りもあったし驚きもあった。でも、必要とされていることを意気に感じたかったんですよね」

 この日の試合後、西岡は自身の信念を語った。苦しむチームへの、熱いメッセージのようにも聞こえた。

 「目の前に壁があるところで、そのまま立ち止まっているのか。それとも、ぶつかってぶつかってぶち破っていくのか。僕は後ろの方を考えています」

 困難から逃げていて成長はない。もがき苦しんだ先に答えはある。だから、今はただ前に進もう。タイガースには、西岡がいる。

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