ドラ1・高山 掛布絶句の柵越え連発

 「阪神春季キャンプ」(3日、安芸)

 ドラフト1位・高山俊外野手(22)=明大=が、安芸2軍キャンプで初の屋外フリー打撃を行い、59スイングで場外弾5発を含む20本の柵越え。掛布雅之2軍監督(60)は「俺の想像を超えていた」と絶句。100年超の歴史を誇る東京六大学史上最高打者という看板は間違いなく本物だ。

 打球音が違った。逆風を切り裂いていく弾道も違った。右翼後方のネットを越え、バックスクリーンの上を突き抜けた白球の着弾点へテレビカメラが走る。「これは本物や」、「4番や」と、目の肥えた安芸のファンもうなった。そして、打撃ケージから出た高山へ大きな拍手が降り注いだ。

 それほど衝撃的だった初の屋外フリー。右手首の手術から3カ月ぶりだったにも関わらず、打球はピンポン球のように飛んでいった。「打球がどうよりも、打つ形を意識した」と言うが、スピンのかかった打球は失速せず、59スイングで20本の柵越え。うち5本が場外へ消えていった。

 形を崩されて流した打球でも左中間フェンスを直撃。見守った掛布2軍監督も「ちょっと俺の想像を超えていた。いつ以来だ?ルーキーがこんなに打ったのは」と絶句する。午前中のマシン打撃を視察した際には本人へ「俺に似てる!」とお墨付きを与えた。初日から積極的に指導し「右足のカベができて力が抜けない。俺以上かもしれないよ。午後のフリーを見といてよ。結構(スタンドへ)行くよ」と予告した。

 しかし、その予想をはるかに上回った高山のスイング-。当初、屋外フリーは全体練習に合流する第2クール以降の予定だった。だが指揮官発案の自主練習デーが設けられたことで、高山は「外で打たせてほしい」とメニュー表に記した。

 「室内でいい感触だったので、弾道の先とか、形がどうかを見たかった。いい打球が出たことはホッとしてます」と確かな手応えを口にしたドラ1ルーキー。一報を伝え聞いた金本監督は「ほーう」とうなずきつつ、「楽しみにしている。でも無理はしないように」と1軍昇格を焦らせない考えを示した。

 掛布2軍監督も慎重に状態を見つつ、20日以降、実戦に出られる段階になってから、ホットラインをつなげる方針。それでも「早く1軍に慣れさせたいと思わせる選手だよね」と349本塁打を放ったミスタータイガースの心を躍らせた“怪物”-。新たな伝説の1ページがこの日、刻まれたのかもしれない。

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