あわや乱闘…連続死球にマートン激高

 「交流戦、西武9-4阪神」(31日、西武ド)

 阪神のマット・マートン外野手(33)が五回1死、この日2度目の死球を左手に受け激高。両軍ベンチ、ブルペンから選手らが駆けつけた本塁付近で一触即発の事態となり、吉本球審が警告試合を宣告した。マートンは六回、4点目のタイムリー内野安打を放ち意地を見せたが、試合は4-0から逆転負け。この熱い思いを勝利につなげたい。

 マートンがマウンド上の郭俊麟をにらみつけ、激高した。五回1死。14年U21W杯(台湾)でMVPに輝いた右腕の143キロが左手を直撃すると、一塁ベンチを飛び出した関川打撃コーチが捕手の炭谷に詰め寄った。「おい!2度はあかんぞ!」。ベンチから両軍入り乱れ、ブルペン待機の中継ぎ陣も駆け寄る押し問答に発展した。

 炭谷は「わざとではありません」と阪神側に頭を下げたが、初回にもマートンが左腕に死球を受けていた。このため、吉本球審は「報復行為を避けるため」と、両軍に対し警告試合を宣告した。

 「相手も相手でバッターを打ち取りたい思いで配球するから、ああいう投球になったとは思う。なかなかストライクゾーンに来ないことで、こっちもイライラした部分はあったんだ」

 試合後、マートンは「チームが負けてしまったから、何も話すことはないよ」と、一度は報道陣の質問を制しながら、来日初となる1試合2死球のシーンを努めて冷静に振り返った。

 ベンチ裏でアイシング治療を施し、六回2死一、三塁の好機で三遊間へ適時内野安打を放った。31打席ぶりの適時打で存在感を発揮したが、試合は中村に2試合連続となる今カード3発目の被弾などで逆転敗戦。八回の最終打席は三振で反発力を発揮できなかったこともあり、マートンの表情は終始さえなかった。

 トレーナー陣によると2カ所の死球痕は「問題ない」と、大事に至らなかった。それでも、関川コーチは「同じ選手に2度はダメだよ。ひとつ間違えたら頭だから」と、怒りを静めながら後味の悪さをにじませた。マートンは前日までの4戦で14打数1安打。今季やや広くなったとされるストライクゾーンへの対応に苦しみ、昨季の首位打者が交流戦でも本領を発揮できないでいる。マートンの完全復調がなければ、虎に光は差し込まない。

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