良太よ今成よ張り合え!高代Cあおった

 「阪神春季キャンプ」(3日、宜野座)

 ホットコーナーで火花を散らせ!阪神・高代延博内野守備走塁コーチ(59)が3日、三塁の定位置を争う新井良太内野手(30)と今成亮太捕手(26)のライバル心をあおった。同コーチは広島、中日など複数球団で指導した経験から、一流にのしあがった選手は「ライバルと口をきかずに練習をしていた」と明かし、「ダブル・りょうた」の成長に期待した。

 ゲキを飛ばしていたノッカーが突如、黙った。ホットコーナーでグラブを構える2人はその沈黙が何を意味するのか、知らない。1時間を過ぎてもノックの嵐は続き、新井良と今成は肩で息をしながら打球を追った。

 球界で「日本一のノッカー」と呼ばれる高代コーチが手のマメをさすりながら、サブグラウンドを出てきた。

 「あいつら2人で励まし合いながら、やっていたな。本音を言えば、もう少し、張り合ってほしいんだけどな…。だからオレ、わざと黙ったんよ」

 午後から組まれた三塁特守。ライバルが互いを刺激する時間にしてほしい。そんな思いが込められ、今キャンプ初めて2人だけにノックが課された。新井良と今成が声を掛け合う姿に目を細めながらも、鬼ノッカーとしては物足りなさも感じたようだ。

 「オレが指導してきた金本や福留、井端…彼らは練習中、隣にいる選手よりも絶対にうまくなるんだという空気を出して、口をきかずにノックを受けていた。良太と今成、どっちかがレギュラーになって、どっちかが控えに回る。そういう空気がもっとあればいいと思うんだけどな」

 昨秋のキャンプで、打撃センスを生かすために今成の三塁コンバートを和田監督に提案し、新井良との定位置争いをあおった。競争が激化すれば相乗効果でチーム力が上がる。期待を込めるからこそ、ライバル心を前面に出してほしいと願う。

 練習後、今成は「捕ってから立ち上がらず重心を低くしたまま送球するように言われました」と、見守った和田監督の指導内容を明かし、泥だらけの新井良は「自分の意識向上に努めたい」と話した。互いに内心は燃えている。もっと、もっと火花を散らせ!鬼ノッカーの思いは日を追うごとに伝わるはずだ。

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