マートン勝つ!マエケンに雪辱果たす

 「セCSファーストS・第1戦、阪神-広島」(12日、甲子園)

 阪神のマット・マートン外野手(32)が、来日4年目の悲願に燃えている。チームがCSファーストSを前に全体練習を行った11日、4番を任される男が、高鳴る胸の内を明かした。今季、2年ぶりに最多安打のタイトルを奪回したが、初戦先発が予想される広島・前田健にはシーズンでは手を焼いた。だからこそ、助っ人はリベンジの機会を待ち望んでいる。

 マートンは体中にやる気をみなぎらせていた。全体練習のシートノックで柴田とともに左翼の守備につき、ノックの打球を全力で追った。シーズン中に何度か「怠慢」と指摘されたチャージは、スピード感を持って取り組んだ。

 「春のキャンプに入ったときから優勝を目指してやってきたんだ。こういう形ではあるけど、プレーオフに進めることに興奮しているよ」

 最終結果に価値を見いだすメジャー流が染みついている。レギュラーシーズンの順位を引きずる思考は、もともと持ち合わせていない。V逸を悲観する時間はとっくに過ぎた。2位から日本一を狙えるシステムをポジティブにとらえ、ギアをトップに入れる。

 ヒットメーカーは前田健が苦手だ。今季の対戦成績は19打数3安打4三振。打線の主軸を担いながら、打点も本塁打も記録できなかった。打率・158は緻密で繊細な助っ人にとって、ナーバスになる数字。だからこそ、クラブハウスのスコアラールームにこもり、対策に余念がなかった。リベンジのステージは大歓迎だ。

 昨季の不振を払拭(ふっしょく)しようと、キャンプインした2月から11年型の旧スタイルをベースに打撃改造に取り組んだ。途中失速こそあったが、シーズン178安打で2位の巨人村田に14本差をつけ、最多安打のタイトルを奪回した。

 「負けて、早くシーズンを終えて、(米国の)家に帰るために野球をやっているわけじゃないんだから。勝ってこの先に進むために頑張るんだ。まだ先があるという意味では、楽しみだよ」

 本番を翌日に控え、大勢の報道陣に囲まれた。雑音をシャットアウトするかのように、ヘッドホンで音楽を聴いていたシーズン終盤の姿はない。クラブハウスに続く通路で足を止め、にっこりほほ笑んだ。皆でニッポン・イチを目指そう。

 その青い瞳は来日の4年目の悲願を欲していた。

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