藤浪初ナイター星でGに1・5差接近!

 「阪神8‐4DeNA」(14日、甲子園)

 やはり聖地の子だ。阪神・藤浪晋太郎投手(19)が自身初のナイター登板で6回1失点の好投で6勝目。甲子園では大阪桐蔭時代から16戦無敗の13連勝。ルーキーの力投に打線も応え、六回に一挙爆発。今成の逆転打でチーム22イニングぶりの得点を挙げるなど一挙7得点。これで首位巨人と1・5ゲーム差。きょう15日からの首位攻防3連戦で一気に再浮上や。

 プレーボールを待ちわびたファンの大歓声に迎えられ、背番号19が聖地のマウンドに立った。初のナイター登板は雨のため試合開始は37分遅れ。調整の難しさはあったが、強い気持ちで乗り切った。

 「調子は終始安定していて悪くなかったです。良かったのはコントロール。悪かったのはストライクゾーンに集まりすぎたところ。ブランコに打たれたのは失投です」

 こう振り返った“因縁の対決”は二回に訪れた。6月23日のDeNA戦(横浜)でプロ初死球を与えたブランコとの対戦。2ボールから、真ん中に投じた150キロ直球を右中間スタンドへ弾丸ライナーで運ばれた。ブランコに2試合連続で本塁打を打たれ、マウンドで唇をかんだ。

 実は12日の試合前、ブランコのもとへ出向き、死球を謝罪した。スペイン語で「ごめんなさい」という意味の「ロシエント」と言ってペコリと頭を下げた。ドミニカ出身のブランコはスペイン語を話すため永田通訳に教えてもらったのだ。これにブランコは感激。「死球も野球の一部だから気にしなくていい。君はすごいピッチャーになるんだから」。藤浪が「まだコントロールが定まっていないから、またぶつけてしまうかもしれない」と言うと、「次の日曜日もどんどん投げてこい」とゲキを飛ばされた。

 ブラ砲には2打席目も、四球を与えたが、六回の3度目の対決は制した。1死一、二塁のピンチに鋭く落ちるフォークで空振り三振。「徹底的に変化球を低めに集めようと思った。思い切っていきました」。その裏、今成の逆転タイムリーが飛び出し、ベンチ横でキャッチボールしていた藤浪はグラブで「バシッ!!」と手を叩いて、喜びを表現した。

 前半戦ラスト登板は6回5安打1失点7奪三振。1カ月以上白星から遠ざかった時期もあったが、プロの試練を乗り越え、球宴までに6勝を挙げた。

 「多少の課題は克服できたと思いますけど、そんなに大きな壁だとは思っていない。一流のピッチャーでも勝てない時期はありますし、そんな感じじゃないですね」。満足感に浸ることなく、後半戦を見据えた。これから待ち受けているどんな壁も乗り越えていく。

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