鶴竜、白鵬倒し大逆転Vだ「2番取る」

 「大相撲九州場所・14日目」(22日、福岡国際センター)

 横綱鶴竜が千秋楽で大逆転の横綱昇進後初Vを狙う。大関琴奨菊を上手出し投げで退け2敗を死守。千秋楽の結びの一番で1敗の横綱白鵬を倒せば、優勝決定戦への道が開ける。白鵬は日馬富士との横綱対決を送り出しで制し、千秋楽で鶴竜に勝てば、大鵬に並ぶ歴代最多32回目の優勝が決まる。新関脇逸ノ城は大関稀勢の里をはたき込んで勝ち越した。

 わずかでも可能性がある限り、絶対にあきらめない。鶴竜が勝負の鬼になる。千秋楽の結びで白鵬に勝って2敗で並び、決定戦に持ち込めば、優勝はどっちに転がるか分からない。「ここまで来たらやるしかない。2番取るという気持ちです」。確固たる口調で決意の言葉を並べた。

 ようやく自分の相撲を取り戻した。立ち合い後、琴奨菊十分の左四つに組んだが、右上手をしっかりつかみ、タイミングのいい出し投げで決めた。12日目に変化で豪栄道に勝って会場から批判を浴び、13日目はその精神的な重圧から立ち合いの失敗で痛恨の黒星。「昨日の負けは勉強させられる一番だった。今日は自分の相撲を取れてよかった」と、ゆっくりと言葉を選んだ。

 千秋楽の結びに勝って決定戦になれば、数字上V確率は5割に上がる。北の湖理事長(元横綱)は「鶴竜は今日の立ち合いではダメだ。もっと鋭くいかないと。流れは白鵬。鶴竜の優勝の可能性は2割から3割しかない」と厳しい見解だが、勝負に絶対はない。

 終盤にひいた風邪で、支度部屋ではせき込む場面もあったが「言い訳はせず、明日は今年最後の一番という気持ちで精一杯の相撲を取りたい」。鶴竜が一世一代の大勝負に臨む。

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