「さっき説明したよ」って言っちゃダメ! 相手が理解できないのはこちらの伝え方にも問題が? 質問スキルを伸ばす元教員の心構え【漫画】
子どもに対して「昨日も言ったでしょ」「さっき説明したよ」と、つい口にしてしまった経験はあるでしょう。そんな言いたくなるけれど、あえて言わなかった言葉について描いた元教師のたけさんによる作品『言いたくはなるけど言わないようにしていた言葉』がInstagramに投稿されました。
それは作者が教員として働いていたときのことです。教師は1日に何度も子どもたちへ説明や指示を出します。そのため、指示どおりに動けていない子どもを見ると、「何回も言ったよ」「昨日も説明したよ」と言いたくなる場面は少なくありません。
しかし作者は、その言葉だけはできる限り口にしないよう心掛けていました。理由はシンプルで、大人でも同様の注意を受けるような失敗をするからです。
教員も定期的に講師を呼んで研修をおこなうことがあるのですが、先生でも説明についていけなくなったり、質問したりすることがあるのだそうです。
このように大人でも「さっき説明したこと」を質問する場面があるのですから、子どもが1度で理解できないのは当然。そのため作者は、「自分の説明は本当に分かりやすかったのか」を常に振り返るようにしていました。40人全員に1度で伝えることは難しく、「分からない子がいるのが当たり前」という前提で授業をおこなっていたそうです。
さらに作者は、「分からない」と言える子どもを育てることを大切にしていました。それは大人になったときに、分からないことがあったら質問できることが大切なスキルと考えているからです。
しかし学校生活のなかで教師が「さっき説明したよ」と返してしまえば、質問した子は萎縮し、次から聞けなくなってしまいます。また、それを見ていた周囲の子どもたちも、「質問すると怒られるんだ」と受け取ってしまうかもしれません。
だからこそ、「99回説明して伝わらなくても、100回目も1回目と同じテンションで説明する」という心構えを大切にしているのでした。
同作について、作者のたけさんに詳しく話を聞きました。
■「さっき説明したかどうか」と「その子が今わかっているかどうか」は別
ー「さっきも言ったでしょ」というこの言葉を意識するようになったきっかけはありましたか?
教員をしている中で、子どもから「先生、これどうするんですか?」と、さっき説明したことをもう1度聞かれることは本当によくありました。そんなとき、つい「さっき説明したよね」「ちゃんと聞いてた?」と言いたくなることもあります。ただ、考えてみると、「さっき説明したかどうか」と「その子が今わかっているかどうか」は別なんですよね。
それなら、「さっき言ったでしょ」と伝えるより、もう一度説明した方が、その子が次に進むためにはいいのではないかと思うようになりました。
ー子どもが萎縮して質問できなくなる場面に出会ったことがあるのでしょうか?
はい、教員をしているとわからないことをすぐに聞ける子もいれば、なかなか「わからない」といえない子もいます。とくに印象に残っているのは、「こんなこと聞いたら怒られるかな」「さっき説明していたから、もう聞いたらダメかな」というように、大人の反応を気にしてしまう子です。
「さっき言ったでしょ」と言われることが続くと、次にわからないことがあったときに、「もう1回聞きたい」よりも「また聞いたら怒られるかもしれない」という気持ちが先に出てしまう子もいると思います。
質問できること自体、その子が「わかりたい」と思っているからこその行動でもありますから、その気持ちはできるだけ大事にしたいですね。
ー2回目、3回目の説明の時には言い方を変えたり、アクションを変えたりした方が良いのでしょうか?
これは、変えるべきです。たとえば言葉を少し簡単にしたり、1度に全部説明せず、1つずつ伝えたり、実際にやって見せたり、指をさしたり絵や図を使ったり、「どこまでわかった?」と確認したりと、伝え方を少し変えてみるといいと思います。
大切なのは、「どうしてわからないの?」ではなく、「どこでわからなくなったんだろう?」と考えること。子どもが同じことを何度も聞いてくると、大人としては「さっき言ったのに」と思ってしまいます。でも、そこで「この子は聞いていない」と決めつけるのではなく、「さっきの伝え方では伝わらなかったのかもしれない」と考えてみる。そうすると、大人側も少し気持ちに余裕を持って対応できるのではないかなと思います。
(海川 まこと/漫画収集家)
