【3代目N-BOX vs.中古サクラ】スライドドアの利便性か、EVの滑らかな走りか… 2大人気軽自動車のスペックを徹底比較してみた
新車販売台数で5年連続首位を獲得し、軽自動車の新車販売台数では11年連続ナンバー1を誇るのが、ホンダ N-BOX(JF5/6系)である。もはや国民車と呼べるほどの人気モデルだ。ただし、N-BOXに限らず、近年は軽スーパーハイトワゴン全体の新車価格が上昇傾向にある。いまや200万円を超えるグレードも珍しくない。
一方、軽BEV(電気自動車)として堅調な販売を続けているのが、日産サクラ(B6系)だ。最新鋭のBEVとして登場した当初は、300万円弱という価格設定だった。
ところが、BEV(電気自動車)全般に見られる傾向として、中古車市場では価格が大きく下落するケースが少なくない。サクラも例外ではなく、中古車相場は2023年式という比較的新しい年式でありながら、200万円を大幅に下回る水準に突入。コストパフォーマンスは急速に高まっている。
そこで本記事では、スーパーハイトワゴンのN-BOXと、ハイトワゴンのサクラを比較する。カテゴリーは異なるものの、日本で最も売れている軽自動車と最新の軽BEVを徹底検証。失敗や後悔のないクルマ選びの一助となるよう、それぞれの特徴を分かりやすくまとめた。※サクラの記事内画像は、マイナーチェンジ前
【N-BOX(JF5/6系)がお勧めな人】
・両側スライドドアであることを重視する人
・スーパーハイトワゴンであることを重視する人
・ランニングコストをあまり気にしない人
・充電する場所がない人
【日産サクラ(B6系)がお勧めな人】
・これからの時代はBEVだと考えている人
・一般的な軽自動車の走行性能では物足りないが、軽自動車サイズのクルマが欲しい人
・ガソリン価格が高騰するなか、ランニングコストをできるだけ抑えたい人
・ガソリンスタンドへ行く手間を減らしたい人
■3代目ホンダN-BOX(JF5/6系)の特徴
2023年10月に販売を開始した3代目N-BOX(JF5/6系)。軽自動車の新車販売台数で11年連続トップを誇るベストセラーモデルである。
3代目N-BOX(JF5/6系)は、女性や家族だけでなく、親しい友人や地域の仲間まで含めた、ユーザーが大切に思う“みんな”のしあわせを後押ししたいという想いを込めて開発された。
先代からキャリーオーバーされたプラットフォームは、軽量・高剛性という特長をさらに磨き上げた。ルーフライニングの厚みを増したほか、フロアカーペットに遮音フィルムを追加することで、ロードノイズの低減を図っている。
さらに、N-BOXカスタムではルーフライニングに吸音シートを採用し、高い静粛性を実現した。
搭載される2種類のエンジンも先代からのキャリーオーバーとなる。VTECを採用した自然吸気エンジンと、電動ウェイストゲートを搭載したターボエンジンの双方で制御を細かく見直し、扱いやすさを向上させている。
組み合わされるCVTも、変速制御を細部まで見直した。ドライバーの意図しないG(加速度)の変化を抑制し、従来以上に無駄な動きを抑えた上質な走りを実現している。燃費性能はWLTCモードで18.4~21.6km/Lを達成した。
運転支援装備では、先進安全運転支援システム「ホンダセンシング」を全グレードに標準装備する。近距離衝突軽減ブレーキや急アクセル抑制機能を含む全13機能によって、ドライバーの安全運転をサポートする。
また、新世代コネクテッド技術を採用した車載通信モジュール「ホンダコネクト」を、ホンダの軽自動車として初めて採用した点も注目ポイントだ。
2024年9月には、クロスオーバーテイストを取り入れたN-BOX JOYを追加。さらに2025年4月には一部改良を実施し、外観デザインの変更やボディカラーへの新色追加が行われている。
■日産サクラ(B6系)の特徴
リーフ、アリアに続く量販BEV(バッテリー電気自動車)として、日産が2022年5月に発表したのが軽BEVのサクラ(B6系)である。
軽ハイトワゴンボディに搭載されるモーターは、最高出力64ps、最大トルク195Nmを発生する。高度な制御技術により、これまで軽自動車が苦手としてきた高速道路への合流時などでも、力強く滑らかな加速を実現。スムーズな走行性能を発揮する。
また、モーター構造の最適化によって、軽自動車としてトップレベルの静粛性を実現した。同時に、床下に駆動用バッテリーを搭載することで低重心化を図り、車体の安定性を向上。路面からの衝撃を効果的に吸収し、快適な乗り心地につなげている。
サクラ(B6系)には、容量20kWhの空冷式リチウムイオンバッテリーを搭載する。WLTCモードで最大180kmの航続距離(一充電走行距離)を確保しており、日常使いには十分な性能を備えている。
さらに、駆動用バッテリーに蓄えた電力をV2H(Vehicle to Home)機器を介して家庭へ供給することも可能だ。災害などによる停電時には、約1日分の電力をまかなえる「走る蓄電池」としても活躍する。
運転支援装備も充実している。高速道路の単一車線で運転を支援する「プロパイロット」をはじめ、駐車時の操作を自動で制御する「プロパイロット パーキング」を設定。軽自動車トップクラスの先進安全装備を備えている。
サクラ(B6系)は2026年4月にマイナーチェンジを実施した。外観デザインをよりスタイリッシュなものへ刷新したほか、車内とラゲッジスペースの2か所にAC100Vコンセント(1500W)を設定し、給電性能の利便性を高めている。
また、各グレードで装備内容の見直しも実施。装備の充実を図りながら価格上昇を抑え、買い得感を高めている。
■走行コストはBEVであるサクラが優位
1.燃費性能
・N-BOX(JF5/6系)の評価は3.5
・サクラ(B6系)の評価は4.5
N-BOX(JF5/6系)の燃費(WLTCモード)は下記の通り。
【660cc直3DOHCエンジン】
・2WD:21.6km/L
・4WD:19.4km/L
【660cc直3DOHCターボエンジン】
・2WD:20.3km/L
・4WD:18.4km/L
サクラ(B6系)の電費、航続距離は下記の通り。
・航続距離(一充電走行距離WLTCモード):180km
・電費(一充電走行距離÷バッテリー容量):0km/kWh
N-BOXは、マイルドハイブリッドシステムなどを搭載しない純ガソリンエンジン車である。そのため、燃費性能はこのクラスとして平均的なレベルに収まっている。
一方、サクラの電費は9.0km/kWhだ。最新の軽BEVであるホンダN-ONE e:と比べると、やや低めの数値となっている。
そこで、N-BOX(FF)の燃費21.6km/Lと、サクラの電費9.0km/kWhを基に、100km走行あたりのエネルギーコストを比較した。ガソリン価格は170円/L、電気料金は東京電力の標準的な料金水準である36.40円/kWhとして試算している。
・N-BOX:約782円/100km
・サクラ:約404円/100km
※電気代は契約状況などにより変動。急速充電は含まない普通充電で試算。
上記の試算結果から、サクラの走行コストはN-BOXの約半分に抑えられることが分かる。ランニングコストという観点では、サクラが大きく優位に立つ。
ただし、BEVは充電環境の有無が重要なポイントとなる。近年はマンションなどの集合住宅でも普通充電設備を備えるケースが増えているものの、依然として戸建て住宅の方が導入しやすい環境にある。
そのため、サクラをはじめとするBEVは、自宅で普通充電ができる環境があるかどうかが、購入判断の大きなポイントになる。自宅充電が難しい場合は、BEVならではのメリットを十分に享受できないケースもあるため、事前に充電環境を確認しておきたい。
■サクラはグレードにより大きな差あり。GグレードならN-BOXよりお買い得!
2.価格比較
・N-BOX(JF5/6系)の評価は4.0
・サクラ(B6系)の評価は4.5
※中古車相場は、2026年6月調べ
3代目N-BOX(JF5/6系)とサクラ(B6系)の上級グレードについて、新車価格と中古車相場を比較したのが以下の内容だ。
・N-BOXカスタム コーディネートスタイル(モノトーン)2WD:216万9200円(新車価格)
・日産サクラ Gグレード:約130万~170万円(2023年式中古車相場)
単純に価格だけで比較すると、3年落ち(2026年時点)の高年式サクラが大きく優位となる。サクラの新車価格と2023年式の中古車相場を比較すると、価格は新車時の44~58%程度まで下落している計算だ。
サクラは最新世代の軽BEVであり、基本性能や先進性は現在でも十分に高い。それだけに、この価格帯で購入できることを考えると、コストパフォーマンスの高い中古車といえるだろう。
装備面に目を向けると、両車とも上級グレードらしく充実した内容となっている。大きな違いのひとつが、ナビゲーション機能を含むディスプレイの扱いだ。
N-BOXは、ナビゲーションやディスプレイオーディオがオプション設定となる一方、サクラのGグレードは、9インチディスプレイとナビゲーションを標準装備している。そのため、購入後の追加費用という観点では、サクラが有利だ。
一方で、運転支援機能であるアダプティブクルーズコントロール(ACC)は、N-BOXが全グレードで標準装備となる。対してサクラは上級グレードのGのみ標準装備となっており、グレードによって差がある。
そのため、サクラのGグレード以外を選ぶ場合は、運転支援装備の充実度でN-BOXに一歩譲る印象だ。
また、N-BOXはスーパーハイトワゴンならではの両側スライドドアを採用している。一方のサクラはハイトワゴンのため、一般的なヒンジ式ドアとなる。子どもの乗り降りや狭い駐車場での使い勝手を考えると、利便性の面ではN-BOXが優位といえる。
■N-BOXの値引き、期待大!
3.購入時の値引き術
・N-BOX(JF5/6系)の評価は4.0
・サクラ(B6系)の評価は3.0
N-BOXは、軽自動車販売台数トップの座を維持するため、高い販売目標を抱えるモデルである。そのため、比較的値引き交渉がしやすい傾向があり、条件次第では20万円を超える値引きが提示されるケースもある。
N-BOXでより有利な条件を引き出すには、ライバル車との相見積もりが効果的だ。主な競合車種としては、日産ルークス、スズキ スペーシア、ダイハツ タントが挙げられる。
まずはこれらのライバル車を1~2車種ほど見積もりし、そのうえでN-BOXの商談に臨みたい。その際は、「比較検討中であること」と「条件次第ではN-BOXを購入する意思があること」を伝えるのがポイントだ。販売店側も競合車種との比較を意識するため、よりよい条件を提示してくれる可能性が高まる。
また、新車の値引き額だけでなく、下取り車の査定額にも注目したい。たとえ大きな値引きを獲得できたとしても、下取り価格が相場より低ければ、結果として支払総額で損をしてしまう可能性がある。
下取り価格が提示されたら、買取専門店でも査定を受けて比較するのがおすすめだ。最終的には、車両値引きと下取り価格を含めた総額で判断するとよいだろう。
一方、サクラを中古車で購入する場合、大幅な値引きはあまり期待できない。中古車販売は利益率が高くないケースが多く、価格設定も市場相場を反映したものとなっているためだ。
そのため、価格交渉よりも車両状態や保証内容、整備履歴などを重視して比較検討したい。もし相場より大幅に安い車両があれば、修復歴の有無や車両状態、保証内容などをしっかり確認しておくことが重要である。
■キープコンセプトで洗練さを増したN-BOX。和のテイストを取り入れたサクラ
4.デザイン比較
・N-BOX(JF5/6系)の評価は4.0
・サクラ(B6系)の評価は4.5
▽N-BOX:ひと目でN-BOXと分かる外観デザインを継承
N-BOXのエクステリアにおける大きな特徴は、「ひと目でN-BOXと分かる堂々とした四角いフォルム」と、「シンプルかつ上質に進化したフロントフェイス」の2点だ。
N-BOXは、安定感のあるスクエアなフォルムを基本とし、タイヤを車体の四隅に配置することで、どっしりとしたスタンスを実現している。また、高めに設定されたベルトラインによって、乗員に安心感を与えるデザインとなっている。
さらに、N-BOXの特徴であるドアパネルは、先代モデル以上にシンプルな面構成とすることで、ボディ全体の塊感を強調した。加えて、サイドのキャラクターラインをリアタイヤ前でキックアップさせることで、ルーフピラーやルーフとの一体感を演出。室内の広さや安心感を視覚的にも表現している。
「シンプルかつ上質に進化したフロントフェイス」も見どころだ。標準車のN-BOXでは、フロントグリルにインターホンやスピーカーなど、身近な家電製品にも見られる丸穴デザインを採用。親しみやすさと新しさを表現している。
また、ヘッドライトは人間の目の構造を参考にデザインされており、どの角度から見ても瞳を思わせる表情を演出。親しみやすく愛着の湧くデザインに仕上げられている。
インテリアは、フラットでスッキリとしたダッシュボードデザインが特徴だ。開放感のある視界を確保するとともに、液晶メーターを採用することで先進性や上質感も高めている。
標準車のインテリアカラーはベージュ系を採用し、明るく広がりを感じられる空間を演出した。一方、N-BOXカスタムはブラックを基調とし、精悍さと高級感を兼ね備えた室内空間に仕上げられている。
▽サクラ:上級車種から受け継いだ落ち着いた大人の雰囲気が漂うデザイン
サクラのエクステリアは、静けさの中に秘めた力強さを表現しながら、次世代の日産らしさを感じさせるフロントフェイスや光るエンブレムを採用。落ち着きのある大人の雰囲気を演出している。
ヘッドライトには、軽自動車として初採用となるプロジェクタータイプの3眼ヘッドランプを装備した。薄型で先進的かつエレガントなデザインとしながら、夜間走行時の視認性向上にも貢献している。
また、バックドアには格子模様から着想を得たワイドなLEDリアコンビネーションランプを採用。テールランプ全体を均一に美しく発光させることで、上質感のあるリアビューを実現した。
ホイールには、日本の伝統文化である水引からインスピレーションを受けたアルミホイールを採用している。足元のアクセントとして機能するとともに、車両全体にシックな印象を与えている。
インテリアでは、7インチメーターと9インチナビゲーションを一体的につないだ「統合型インターフェースディスプレイ」を採用。先進性を感じさせる近未来的なコックピットを実現した。
さらに、一般的には樹脂素材が露出しやすい部分にも高品質なファブリック素材を採用することで、上質感を高めている。こうした仕立ての良さもあり、インテリアの質感はN-BOXを上回る印象を受ける。軽自動車の中でもトップクラスといえる完成度の高い室内空間に仕上がっている。
■スライドドアを採用した3代目N-BOX(JF5/6系)が広さと利便性はリード
5.室内空間と使い勝手
・N-BOX(JF5/6系)の評価は4.5
・サクラ(B6系)の評価は3.5
N-BOXとサクラのボディサイズ・室内サイズを比較した。
【N-BOX】
・ボディサイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mm
・ホイールベース:2520mm
・室内サイズ:室内長2125mm×室内幅1350mm×室内高1400mm
【サクラ】
・ボディサイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mm
・ホイールベース:2495mm
・室内サイズ:室内長2115mm×室内幅1340mm×室内高1270mm
N-BOXは軽自動車最大級の室内空間を実現したスーパーハイトワゴンである。一方のサクラは、かつて軽自動車の主流カテゴリーだったハイトワゴンに属するモデルだ。
両車の全長と全幅はほぼ同等だが、大きく異なるのが全高である。N-BOXの全高はサクラを145mm上回っており、その差が室内空間にも表れている。
室内高はN-BOXがサクラより130mm高く、小さな子どもが車内で着替えられる目安とされる1400mmを確保している。そのため、頭上空間のゆとりという点ではN-BOXが優位だ。
一方で、室内長や室内幅については両車に大きな差はなく、前後方向や左右方向の居住性はほぼ同等といえる。
使い勝手の面で大きな違いとなるのが、リアドアの形状だ。N-BOXは両側スライドドアを採用しており、低床設計と組み合わせることで優れた乗降性を実現している。
対するサクラは、一般的なヒンジ式ドアを採用する。そのため、狭い駐車場での乗り降りや、小さな子どもをチャイルドシートへ乗せる場面では、N-BOXの方が使い勝手に優れる。
後席に小さな子どもや高齢者を乗せる機会が多いのであれば、利便性の高さからN-BOXが有力な選択肢となるだろう。
■グレードによる装備差がないN-BOXが優位
6.安全装備&運転支援機能の比較
・N-BOX(JF5/6系)の評価は4.5
・サクラ(B6系)の評価は4.0
N-BOXは2023年、サクラは2022年に登場した比較的新しいモデルだ。そのため、両車とも運転支援機能は軽自動車トップクラスの充実度を誇る。
N-BOXは、自動ブレーキを含む全13機能をパッケージ化した「ホンダセンシング」を、全グレードに標準装備する。
運転支援システムには、約100度の有効水平画角を持つフロントワイドビューカメラと高速画像処理チップを採用。従来システムよりも広い範囲を、高精度に検知できる。また、車両前後に配置されたソナーセンサーにより、「踏み間違い衝突軽減システム」などの安全機能を実現している。
さらに、ホンダの軽自動車として初めてマルチビューカメラシステムを採用した。見通しの悪い交差点への進入時や狭い道路でのすれ違い、後退駐車時などに周囲の状況を確認しやすくし、運転をサポートする。
また、新世代コネクテッド技術を採用した車載通信モジュール「ホンダコネクト」を、ホンダの軽自動車として初めて搭載した点も特徴だ。
一方のサクラは、高速道路の単一車線で運転を支援する「プロパイロット」を採用。さらに、駐車操作を自動で制御する「プロパイロット パーキング」も設定されている。
そのほかにも、衝突被害軽減ブレーキの「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」、踏み間違い衝突防止アシスト、2台前を走行する車両の動きまで検知する「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」など、上級車並みの先進安全装備を備えている。
ただし、サクラはグレードによって装備内容に差がある。上級グレードのGではこれらの機能が標準装備となる一方、Xグレードではプロパイロットなどがオプション設定となる。
その点、N-BOXはグレードによる安全装備の差がほとんどなく、どのグレードを選んでも高い安全性能を得られる。この点はN-BOXの大きな強みといえるだろう。
■走行性能面は、サクラの圧勝!
7.走行性能の比較
・N-BOX(JF5/6系)の評価は3.5
・サクラ(B6系)の評価は4.5
N-BOXとサクラのパワートレインのスペックは以下の通り。
【N-BOX(JF5/6系)】
・660cc直3DOHCエンジン:58ps/65N・m
・660cc直3DOHCターボエンジン:64ps/104N・m
【サクラ(B6系)】
・フロントモーター:64ps/195N・m
▽N-BOXのエンジンフィール
最高出力58ps、最大トルク65N・mを発生する自然吸気エンジンは、ホンダらしく高回転域までスムーズに吹け上がる特性を持つ。
一方で、マイルドハイブリッド車と比べると、低速域でのアクセルレスポンスはやや穏やかな印象だ。また、N-BOXはスーパーハイトワゴンならではの広い室内空間を持つ反面、車重も比較的重いため、高速道路への合流や登坂路ではパワー不足を感じる場面もある。
日常の街乗りを中心に使用するのであれば、自然吸気エンジンでも十分な性能を備えている。しかし、高速道路の利用頻度が高い場合や、より余裕のある走りを求めるのであれば、最大トルク104N・mを発生するターボ車がおすすめだ。
ターボ車は加速性能に余裕があり、高速巡航時や追い越し加速時にもゆとりのある走りを実現する。
▽サクラのモーターフィール
モーターは、アクセル操作に対して瞬時に最大トルクを発生できることが大きな特長だ。
サクラは最大トルク195N・mを発生し、その数値はN-BOXの自然吸気エンジンはもちろん、ターボエンジンと比較しても大きく上回る。アクセルを踏み込んだ瞬間から力強い加速が得られるため、軽自動車とは思えないほどの力強い走りを味わえる。
特に発進時や中間加速ではモーターならではの力強さが際立ち、パワフルさという点ではN-BOXのターボ車を上回る印象だ。
さらに、モーター駆動車ならではの優れたアクセルレスポンスも魅力である。アクセル操作に対する反応が非常に素早く、加速は滑らかそのもの。市街地から高速道路まで、静かでスムーズな走行フィールを実現している。
▽N-BOXの乗心地と静粛性
N-BOXの乗り心地は、スーパーハイトワゴンの中でも比較的柔らかめのセッティングが特徴だ。そのため、市街地での走行では路面からの衝撃をうまく吸収し、快適な乗り心地を実現している。
一方で、街乗りでの快適性を重視した足まわりのため、高速道路など速度域が高くなる場面では、路面状況によって車体の揺れがやや大きく感じられることがある。特に荒れた路面では、揺れの収束に少し時間がかかる傾向が見られる。
静粛性については、全体的に良好なレベルにある。ただし、加速時などでエンジン回転数が高まると、エンジン音が車内に入りやすくなるため、やや賑やかに感じる場面もある。
また、N-BOXカスタム系グレードは吸音材の追加などにより、標準車と比べて静粛性が高められている。そのため、より静かな車内空間を求めるのであれば、カスタム系グレードが有力な選択肢となるだろう。
▽サクラの乗心地と静粛性
サクラの乗り心地は、N-BOXと比べると、ややしっかりとしたセッティングが特徴だ。ただし、車重が重いこともあり、速度が上がるにつれて落ち着きやしなやかさが感じられるようになる。
また、大容量の駆動用リチウムイオンバッテリーを床下に搭載しているため、重心は非常に低い。その結果、コーナリング時の車体の安定感は高く、路面に吸い付くような安定した走りを実現している。
静粛性については、モーターで走行するBEVならではの大きな強みがある。エンジン音が発生しないため車内は非常に静かで、市街地走行では高い快適性を味わえる。
その一方で、パワートレイン由来の音が少ないことから、路面状況によってはロードノイズの方が目立って感じられることもある。
走行安定性や静粛性という観点では、サクラはN-BOXを上回る実力を備えている。特に上質な走行フィールを重視するユーザーにとっては、大きな魅力となるだろう。
■軽自動車ナンバーゆえ、高額査定期待大のN-BOX
8.リセールバリュー
・N-BOX(JF5/6系)の評価は4.0
・サクラ(B6系)の評価は3.0
※中古車相場は2026年6月調べ
【ホンダ N-BOX(JF5/6系)カスタムコーディネイトスタイル(FF)】
・中古車相場2023年式:約180~200万円
・当時の新車価格比:約87~97%
【日産サクラ(B6系)G(FF)】
・中古車相場2023年式:約130~170万円
・当時の新車価格比:約43~56%
N-BOXカスタム コーディネートスタイル(FF)の中古車相場は、当時の新車価格に対して約87~97%と高い水準を維持している。
軽スーパーハイトワゴンは人気カテゴリーのため、中古車相場が高値で推移することは珍しくない。その中でもN-BOXは特に高値傾向にあり、軽自動車販売台数トップを誇る人気車であることが相場を支えていると考えられる。
一方で、中古車価格が新車価格に近い水準まで上昇しているため、中古車ならではのお買い得感はやや薄い。価格差が小さいのであれば、新車を購入して高いリセールバリューを活かしながら乗るという選択も十分に魅力的だろう。
対する日産サクラ G(FF)の中古車相場は、2023年式で約130万~170万円となっている。当時の新車価格に対する水準は約43~56%で、大幅な価格下落が見られる。
これはサクラに限った話ではなく、BEV(バッテリー電気自動車)全般に見られる傾向だ。BEVは購入時に各種補助金の対象となるケースが多く、中古車市場では補助金を考慮した実質的な購入価格が相場形成に影響しているといわれている。そのため、リセールバリューは低めに推移する傾向がある。
こうした特徴を踏まえると、サクラを新車で購入する場合はリセールバリューの低下を考慮しておきたい。一方で、中古車購入という視点では大きなメリットがある。
高い完成度を持つ最新世代の軽BEVを、新車価格より大幅に安い価格帯で購入できるためだ。コストパフォーマンスという観点では、中古車市場におけるサクラの魅力は非常に高いといえる。
このように、リセールバリューを重視するのであれば、N-BOXが有利だ。一方で、購入時のコストパフォーマンスを重視するのであれば、中古車のサクラは非常に魅力的な選択肢となる。
■実用性重視ならN-BOX、質感や走行性能ならサクラがおすすめ
▽まとめ
N-BOXと中古車サクラのどちらを選ぶべきかは、何を重視するかによって変わってくる。
N-BOXは、軽自動車販売台数トップを誇る人気モデルだ。その理由は、軽自動車に求められる実用性を高いレベルでバランスよく備えていることにある。広い室内空間や両側スライドドアによる優れた利便性、安全装備の充実度など、ファミリー層を中心に支持される要素が数多く盛り込まれている。軽自動車選びで迷ったときに、有力な選択肢となる一台といえるだろう。
一方で、人とは少し違った軽自動車を選びたいという人に注目してほしいのが、中古車市場で価格がこなれてきた軽BEVのサクラだ。
サクラは、軽自動車の枠を超えたともいえる走行性能と上質感を備えている。モーターならではの力強く滑らかな加速性能に加え、走行コストも電気を使用するため比較的低く抑えられる。
さらに、中古車価格は新車時と比べて大きく下落しており、高い完成度を持つ軽BEVを手の届きやすい価格で購入できる点も大きな魅力だ。中古車ならではの高いコストパフォーマンスを実感できるモデルといえる。
それぞれに異なる魅力があるからこそ、自身の使い方や重視したいポイントを整理したうえで選ぶことが、満足度の高いクルマ選びにつながる。
■ホンダN-BOX(JF5/6系)新車価格帯・スペック
・ベースグレード(2WD)173万9100円~カスタムターボコーディネイトスタイル(2トーン、4WD)247万5000円
■日産サクラ(B6系)新車価格帯・スペック
・S(2WD)244万8600円~G(2WD)299万8600円
◇ ◇
◆大岡 智彦(クルマ評論家・CORISM代表)
自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマるがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。
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【監修】中古車のガリバーが運営・クルマのギモンにこたえるサイト「norico」編集長・村田創
中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!
(まいどなニュース/norico)
