小2の息子にASDの診断 40代母親「ほっとした気持ちもあります」 人間関係が苦手なわが子のためにできること 利用できる支援や必要な手続きの流れ【社会福祉士が解説】

「小学2年生の息子にASD(自閉スペクトラム症)の診断がおりました。乳幼児期から息子の口数の少なさや一人遊びの多さに違和感を覚えていました。ようやくASDという診断がおりて、納得感やほっとした気持ちもあります。ただ、この診断がおりたものの、ここから何をしたらよいかわからない状態なんです。最近放課後デイサービスとかも聞きますが、それってどうやって利用するのって感じで…」

そう話すのは40代女性の滝内ゆうかさん(仮名)です。小学2年生になった息子さんは、周囲のお友達と比べると人間関係を築くことに困難さが見受けられるようです。相手の気持ちを想像してコミュニケーションをとることが苦手で、滝内さんご自身も、息子さんの今後を案じている様子でした。

病院のすすめもあり、滝内さんは、障害児通所支援の利用を検討しはじめました。

障害児通所支援には、主に未就学児(0~6歳)を対象として日常生活における基本的な動作の指導や集団生活への適応訓練を行う「児童発達支援」と、主に就学児(小学生~高校生)を対象として放課後や休日に生活能力向上のための訓練や社会との交流促進を行う「放課後等デイサービス」があります。滝内さんの息子さんは小学2年生のため、放課後等デイサービスを利用したいと考えましたが、利用方法など、どこに相談したらよいかわからない様子でした。

児童発達支援・放課後等デイサービスとは、障害や発達の特性がある子どもが対象の、社会性や身体機能の向上を目的とした児童福祉法に基づくサービスを指します。

子どもの発達に特性や困りごとがあり、療育などの支援が必要だと感じたとき、保護者としてできることは何なのか?受給者証の取得から療育までの流れを見ていきましょう。

■障害児通所支援の受給者証取得

まずは、障害児通所支援のために、受給者証(通所受給者証)を取得する必要があります。受給者証は、発達の特性や生活・集団適応の困りごとがあり、障害児通所支援の利用が必要と判断される場合に申請できるもので、診断が確定していない場合でも医師の意見書などがあれば申請できる場合があります。

申請から交付までは、自治体によっても異なりますが1~2カ月程度かかる場合があります。実際に受給者証を申請・取得しサービスを開始するまでの流れは下記のようになります。

①施設の見学

見学や相談は受給者証がなくてもできます。自治体によっては、事前に施設への見学や相談を行ってから申請をするようお願いしているケースもあります。

その後の手続きや契約を円滑に進められるように、事前に利用したい施設や事業所を検討し、空きがあるかの確認や利用に向けた相談をしておくことをおすすめします。

②施設の利用相談

利用したい施設や事業所が決まったら、自治体の担当課、もしくは自治体が指定を行っている特定相談支援事業所へ利用相談を行い、申請手続きに進みます。

③支給の申請

申請書や医師の意見書などの一式の書類を自治体に申請します。

【必要書類の一例】

・支給申請書

・障害児支援利用計画案

・発達に支援が必要なことがわかる書類(医師の意見書や各種手帳)

・マイナンバー

前述した相談支援事業所は、障害児支援利用計画案の作成にも対応しています。もしくは、保護者や支援者が、セルフプランとして利用計画案の作成をすることもできます。

④通所支給の可否決定

自治体の担当者と面接し、利用条件を満たしているか、希望利用頻度はどのくらいかなどを聞き取る面接調査が行われます。

提出した申請書や利用計画案、面接で受けた情報等から、支給の可否や支給量などが決められます。

⑤決定通知書・通所受給者証の発行

審査の結果、サービス利用が適切だと判断された場合には支給決定となり、受給者証が発行されます。

受給者証には、通所支給の決定通知書、支給量、通所給付決定を行った障害児通所支援の種類、通所給付決定の有効期間などが記載されています。

■児童発達支援・放課後等デイサービス利用料の確認

児童発達支援・放課後等デイサービス利用料金は、受給者証があれば、9割が自治体負担で1割が自己負担となります。ただし世帯所得に応じて負担上限額が定められています。

◆月額負担上限額

・生活保護世帯、市町村民税非課税世帯:0円

・市町村民税課税世帯(所得割28万円未満):月額4600円

・上記以外の世帯:月額37200円

◆利用料の計算例

1回あたりのサービス利用料が仮に1万円の場合、1割負担で1000円が自己負担となります。これを週1回(月4回)利用すると、本来は4000円の自己負担となりますが、世帯所得が「一般1」という区分(月額上限4,600円)に該当する場合、実際の負担は4000円となり、上限には達しません。週2回(月8回)利用すると本来8000円ですが、上限4600円までの負担となります。

なお、おやつ代や遠足費用などの実費は、この利用料とは別に負担が必要です(1回あたり50~100円程度が一般的)。

また、2019年10月から、3歳から5歳までの障害児の発達支援(児童発達支援、医療型児童発達支援、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援)については、利用者負担が無償化されています。このため、対象年齢である未就学児については、上記の自己負担はかかりません。

■特別児童扶養手当の等級ごとの金額の把握

合わせて確認したいのが、「特別児童扶養手当」です。特別児童扶養手当とは、精神または身体に障害のある20歳未満の児童を家庭で養育している父母、または養育者に支給される制度のことです。

この制度によって、該当児童の福祉の増進を図ることを目的としています。

厚生労働省により2026(令和8)年4月から適用されている月ごとの支給金額は、1級が5万8450円、2級が3万8930円です。

ただし、受給資格者やその配偶者、扶養義務者の前年の所得が一定限度額以上である場合は、手当が支給されません。

■どこに相談すればわからない場合は、自治体の窓口へ

滝内さんは、最近は通所受給者証の取得のために必要な書類を集めたり、近隣の事業所などの情報収集をしたり、息子さんのために動き始めているといいます。

「もう何が何やらだったので、市役所の職員さんに尋ねたところ、専門の支援員さんに繋げていただきました。今ではすべきことが明確になって、受給者証に必要な書類集めと同時に、いくつかの事業所の見学にも行っています。大変なこともありますが、愛する息子のためなら頑張れそうです」

そう語る滝内さんは、以前より忙しそうではあるものの、息子さんを思う表情はどこか柔和になりました。

大切な我が子の発達に特性や困りごとがあるとわかったとき、複雑な心境になる保護者も少なくないでしょう。

けれども今は、障害児をサポートする支援や制度が整いつつあります。診断の有無にかかわらず、発達の困りごとがあれば相談できる窓口もあります。

何から動けば良いかわからない場合は、一人で悩まず、自治体の職員に相談してみましょう。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)

社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。 

(まいどなニュース/もくもくライターズ)

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