【漫画】道行く小学生に「どこまで帰るの?」、葬儀場で「あの人も老けたね」放言が止まらない70代母 昔はお洒落で誰とでも仲良くなれる「自慢の母」だったのに
年齢を重ねると丸くなる人もいれば、遠慮が先に消えていく人もいます。かつては自慢だった親の姿も、年齢とともに少しずつ変わっていきます。見た目だけでなく、言動の抑制が弱くなると、家族の外出は思いがけない緊張の連続になります。悪気がないからこそ止めづらく、周囲の目だけが気になっていきます。
■かつては自慢だった母の変化
埼玉県在住のMさん(40代)の母親は長身でスタイルがよく、おしゃれな人でした。誰とでも仲良くでき、場の空気を読むのが上手な、思慮深い性格だったといいます。学校行事に来れば周囲から褒められ、子どものころのMさんにとっては自慢の母でした。
その印象があるからこそ、現在の変化に戸惑いが大きいのです。70代中盤になり、最近は、頭に浮かんだことをそのまま口に出してしまいます。
■運転中に続く過剰アラート
助手席に座ると、対向車とすれ違うたびに「あの車、危ない」「自転車が飛び出してきた!」などと、いちいち声が出ます。歩行者がいれば「人がいる」と重ねます。運転者として確認済みであっても、お構いなしです。安全意識の高さとは別に、言葉の制御が効きにくくなっている印象です。
善意の注意喚起でも、連続すると集中を削ります。Mさんは「静かにしてもらうことの難しさ」を実感しているそうです。
■スーパーで始まる、他人のかごの中コメント
買い物中も気が抜けません。他人のかごを見て「あの人は今日は鍋だね」「エノキばかり、あんなに買ってどうするんだろう」と感想を述べます。母は独り言のつもりでも声量は十分です。聞こえてしまっているのではないかと、Mさんは売り場で戦々恐々としています。
以前の母なら、まず口にはしなかった種類の発言です。
■公共の場で止まらない率直さ
電車では通学中の小学生に「何年生?一人で通学していてえらいね。どこまで帰るの?」などと話しかけ、保護者の姿が見えなかったため、Mさんは慌てて制止したといいます。今の時代、善意の声かけでも警戒される場面は少なくありません。
また、ショッピングモールで、楽しそうに踊る子どもを見て「あの子、よほどいいことがあったんだろうか」と感想を述べます。
極めつけは親戚の葬儀でした。久しぶりに再会した親族の姿を見て、母親は「あの人も老けたね」と率直な感想を述べました。本人に聞こえない距離ではありましたが、声量はひそひそ話ではなく、通常の会話レベルでした。周囲の空気が一瞬止まったのをMさんは感じたといいます。
■孫娘が距離を置き始めた理由
影響は家族関係にも及びます。思春期の孫娘は、祖母と一緒の外出を避けるようになりました。「おばあちゃん、突然知らない人に話しかけるから」と孫娘は言います。周囲の目が気になる思春期の孫娘には、その場の張り詰めた空気が過敏に伝わってしまいます。いつか差別的に受け取られかねない表現が飛び出すのではないか、周囲を傷つけないか、同行者が常に気を張る状態になります。
かつては空気を読むのが得意だった人が、言葉を飲み込めなくなる。その落差に、家族は戸惑います。老いは、見た目より先に言葉のフィルターから始まるのかもしれません。家族の役割は今、付き添いから緩衝材へと変わりつつあるのです。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
