【漫画】ボンボンドロップシールに翻弄される親たち 過熱するシール交換の舞台裏 ホンモノかニセモノか、入荷情報…「競争」も激化
ぷっくりと膨らんだ小さなシールが、ここまで親子を翻弄するとは、誰が想像したでしょうか。ボンボンドロップシールの流行は、子ども同士の可愛らしい遊びを超え、入手経路や価値観、さらには親の立ち位置までも浮き彫りにしています。東京都内の私立小学校に通う小2の娘を持つAさん(40代)も、その現実に直面しています。
■「中身が空気」はもう過去の話
ブーム初期、海外系の格安通販サイトやファッション雑貨店で扱われていたボンボンドロップ系のシールは、中身が空洞のものが多く見られました。見た目は似ていても、手に取ると軽く、正規品とは明らかに違いました。子どもたちはそれを即座に見抜き、「これは違う」と切り捨てていました。
しかし最近では、非正規品であっても中身が詰まったタイプも増えてきています。親の目には正規品との区別はつきにくくなり、見分けができるのは、ほとんどの場合子どもだけ、という状況です。一方で正規品は、キャラクターショップや大手文具店など限られた場所でしか扱われていないらしく、入手困難度は依然として高いままです。
■親には分からない「価値の線引き」
Aさんも最初は、違いが分からないまま海外通販でシールを購入しました。しかし娘は開封した瞬間に言いました。「これはホンモノじゃない」。理由を聞くと、本物は中の装飾が隙間なく詰まり、触った感触が違うのだそうです。
それ以降、Aさん親子は方針を変えました。海外通販で購入したものについては、交換の場でも最初から「これはニセモノ」と伝えるようにしたのです。それでも娘は、相手の友達と条件を調整し、納得したうえで交換を成立させていました。
■私立小に漂う、見えない競争
Aさんの娘が通うのは都内の私立小学校です。周囲には、高額転売品をネットで購入する家庭や、SNSで入荷情報を追い、複数店舗を回る母親もいます。どのシールを持っているかが、そのまま家庭の姿を映すような空気も否定できません。
子どもたちは、その違いをよく理解しています。どこで買ったのか、正規か非正規か、どのシリーズが希少か。大人が思う以上に、情報は共有されていました。
■小2の「交渉力」は想像以上に高度
Aさんの娘は、いわゆる「レート合わせ」が得意でした。価値が低いとされる非正規品でも、デザインや色の組み合わせ次第で、1枚に対して複数枚との交換を成立させることもあります。結果として、家には次々とシールが増え、シール帳は膨らむ一方です。
母親としては娘の想像以上の交渉力に、不安は拭えません。後になって「不公平だった」と感じる家庭が出てこないか。裏で何か言われていないか、その一線がどこにあるのかが分からないからです。
■放課後に始まる、もう一つの管理社会
学校内への持ち込みは禁止されているため、交換は放課後に行われます。学校まで迎えに行く際、Aさんは必ず「シール帳を持ってきて」と娘に言われます。
仲の良い親同士でランチをしている横で、子どもたちは静かに交換を進めています。親たちがおしゃべりに夢中になっていると、気づいたときには、1シート丸ごと失っていた子どももいました。娘に悪意はなくても、後味の悪さだけが残ります。
■可愛い流行が残したもの
ボンボンドロップシールは、本来は小さな楽しみでした。しかし入手経路、正規・非正規の線引き、子ども同士の交渉力、そして親の介入が重なり、思わぬ緊張を生んでいます。
このブームが去ったあと、親の記憶に残るのは、ぷっくりしたシールではなく、「いつかトラブルになるのではないか」と感じ続けた、あの独特の空気かもしれません。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)





